行政改革に関する特別委員会議事録

平成18年
45
(後半)

○ 伊吹委員長  これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。

  この際、市村浩一郎君の残余の時間の質疑を許します。市村君。

○ 市村委員  ありがとうございます。引き続き、公益法人改革についての議論をさせていただきたいと存じます。

  この時間は法務大臣にも来ていただきましたので、昨日もやらせていただきましたが、民法三十四条改正について、三十三条二項の条文について、改めて議論をさせていただきたいと思います。

  昨日もこの場で申し上げましたように、この三十三条二項に法人の設立についての規定が書かれておりますが、その例示として挙げられているものが、非営利の世界においては公益法人があり、そして一方の営利の世界においては営利事業を営むことを目的とする法人が書かれている。これは大変アンバランスであるということを御指摘申し上げ、ぜひとも御検討いただきたいということを申し上げましたが、法務大臣、いかがでしょうか。また改めて御見解をお聞きしたいと思います。

○ 杉浦国務大臣  委員から御指摘のような御提案をいただきましたが、きのうの答弁でも申し上げましたとおり、理論上、法人の類型を、営利事業を営むことを目的とする法人と、非営利事業を営むことを目的とする法人とに分類するという考え方については、私も、きのうも申し上げましたが、全く否定するつもりはございません。

  しかし、この問題は、法人の設立、組織、運営及び管理といった事項は法律で定めなければならないという原則を、法律の条文でどのように規定するのが妥当かという問題でございます。民法は私法の基本法でございますので、国民一般にわかりやすい条文表現を採用する必要がございます。

  このような観点から検討いたしますと、法人にはさまざまなものがあり、そのすべての法人に民法第三十三条第二項の規律の適用があることをあらわすためには、国民一般にとって最も身近と考えられる株式会社等の営利事業を営むことを目的とする法人とともに、従来、民法において規定が設けられていて、また学校法人や宗教法人など社会において重要な地位を占めている公益を目的とする法人を法人の例示として掲げるのが最も適切であると考えております。

  これらのようなことから、これらを代表的な法人類型として掲げることとしたわけでございまして、重ねて申し上げますが、この条文の規定は、委員御指摘の考え方と矛盾したり、またこれを阻害するというものでは全くございません。

○ 市村委員  今わかりやすいということをおっしゃっていただきましたけれども、昨日も申し上げたように、どっちにしてもわかりにくいと私は思います。

  それで、今、大きな社会の流れをつくろうとする中で、民法を変えようというせっかくのお気持ちがあるんですから、私はやはり本来あるべき姿に戻す方がいいというふうにきのうから申し上げているわけでありまして、どう考えても、営利事業を営むことを目的とする法人と公益法人、これが対になっているということ自体がおかしいんですから、それについてのお答えがないんですね。きのうからすれ違いの議論になっていると私は思います。

  法務大臣、ぜひとも、官僚がつくった作文を読まないで、法務大臣がこの私との議論を通じて心に感じたことを素直におっしゃっていただきたいと思うんです。心で感じた、この今の議論を通じたこと、素直におっしゃっていただきたいと思います。

○ 杉浦国務大臣  文章を読んでいるのは、正確を期して読んでおりまして、心に思うことを素直に申し上げているわけでございます。

  今度の改革は、公益法人についての許可主義を廃止する、ここが根本であります。ですから、これを除いてそれぞれの法律で決めていただくということをするわけですから、この部分の表現、三十三条二項の表現は、従来の民法の規定と、わかりやすい表現でよろしいんじゃないかと。何も先生と角を突き合わせて、目に角を立てて議論しなきゃならない問題ではないんじゃないかと私は思っておるわけですが、いかがでございましょうか。

○ 市村委員  であれば、私、きのうもちょっと申し上げたと思いますが、もう一度提言をいたします。

  では、この例示を残すのであれば、この例示を残しながら、学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人を含む非営利事業を営むことを目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立というふうに、これを残しながら、非営利法人という、非営利事業を営む法人ということを入れることは十分可能だと思います。

  本当にそこまで、この公益という言葉を残したい、この例示を残したい、これまでなれ親しんだ、わかりやすい、そこまでおっしゃるんであれば、そういうふうにしたらどうかと私は提言申し上げますが、法務大臣、いかがでしょうか。

○ 伊吹委員長  杉浦法務大臣、価値観と立法論の問題だと思いますから、その点を踏まえて。

○ 杉浦国務大臣  まさに委員長がおっしゃったとおりの問題と思います。

  あくまでも今度の改革は、公益法人についての許可主義を廃止いたしまして、準拠主義で、国民各界各層の方々が財団法人等々おつくりいただいて自由にやっていただく、ただし、公益性については内閣で一元的に認定をして厳しくやっていくということにあるわけでございますので、従来の民法の規定、会社法の規定等からわかりやすい書きぶりにしたわけでございます。

  先生の御意見は、先生のずっと取り組んでおられた活動からにじみ出ているのはよく理解はできますけれども、決して衝突するものではない、全部取り込ませていただいているというふうに私どもは考えておるところでございます。

○ 市村委員  ですから、今委員長がおっしゃっていただいた、いわゆる理念と立法論から私は申し上げているわけですね。理念がおかしい、立法論がおかしいというのであれば、そう御指摘いただきたい。私が今提言したような書きぶりでは法律として成り立たないというのであればそれを御指摘いただきたいし、理念についてはどうやら一緒ということでありますので、そこは安心しておりますが、私が先ほど申し上げた提案が、ちょっとその言い方は立法論として難しいというのであればそのようにおっしゃってほしいんですが、いかがでしょうか。

○ 杉浦国務大臣  先生の御意見が立法論としておかしいことだとは一言も申し上げておりません。お考えは、その他の団体、営利法人という中に入っておるわけでございますから、生かされている。この表現、書きぶり、立法論としては書きぶりの中に取り込ませていただいているというふうに私どもは理解しております。

○ 市村委員  いや、だから、どこに取り込んでいらっしゃると。私は、せっかく例示として残すならば、それはそれで別に構いません。私は削除をした方がすっきりすると思いますが、それよりも例示があった方がわかりやすいとおっしゃるのであれば、それはそれで了としますが、ただ、何回も申し上げますが、営利と公益は、これは対じゃありませんから、営利と非営利を対にした方がいいんじゃないですか、そのときに非営利の例示として公益を挙げればいいんじゃないですかということで申し上げております。

  それについてどう思うかということをお聞きしているわけですから、法務大臣として、そのことについて立法論的にもおかしくないと今おっしゃいましたので、では、理念も一致している、立法論的にもおかしくないのであれば、そのようにしたらどうかということに対して、イエスかノーかというか、いや、そんなの受け入れられないとおっしゃるのか、なるほどそれは検討の余地があるとおっしゃるのか、そういうことをおっしゃっていただきたいということでございます。

○ 杉浦国務大臣  立法論といたしまして、民法から公益法人の組織、運営等についての部分は各法令に全部移るわけでございます。一般的規律について定めるわけでございますので、民法で今まで使われていた表現、それから商法、同じ民法体系の中にございますが、商法で使われている文言、先生がこだわっておられます非営利法人ですか非営利事業を営む法人という言葉は従来、民法典本体の中では使われておりませんので、中身としては、公益法人、その他の法人、中間法人その他でございましょうが、この改正に際して今のような表現にさせていただいたということでございます。

○ 市村委員  済みません、官房長官は外交日程があるそうですので、官房長官、最後に、政府を代表する立場で、今のこの民法、私は民法というのは大変重要な法律だと思います。そこの書きぶりは、やはり今回はこれからの新しい日本をつくっていくためにそぐうような書きぶりにすべきだと。私、与党としてやはり責任を持ってここはきちっと書いていただきたいと思うわけでございますが、政府を代表して、官房長官、一言だけいただきまして、外交日程の方にどうぞ行ってください。

○ 安倍国務大臣  ただいま委員と法務大臣のやりとりを拝聴しておりまして、委員が長年にわたりましてこの問題に取り組んでこられたその御見識には大変敬服をしている次第でありますし、委員の整理の仕方、あるいは委員がこうした方がいいという書きぶり、それはそれなりに一つの考え方で存在するだろう、こう思っておりますが、私どもとしてはこうした書きぶりにさせていただいた。

  要は、同じ方向を向いているわけでありますが、家の建築の仕方がちょっと違うということでありますが、住みやすい家をつくろうという概念においては同じではないか、方向性においては同じではないか。要は、今後、先生が御主張しておられるように、これからは公益法人、民をしっかりと生かしていくという方向で、またそれに官が過度にかかわっていくということではない、そういう社会をつくっていくべく、我々も運用においてもちゃんとやっていかなければいけない、こう考えているところでございます。

○ 市村委員  今の話については、まさに家をつくる、どういう家を建てるかということではなくて、実は土台づくりなんです。だから私は、きちっとした土台をつくらないと、いい家を建てたって、結局もろとも崩れますよということを言っているわけでありまして、民法は土台だと思いますので、ぜひともまた、今御答弁は求めません、行かれるということでございますので、どうぞ行ってください。

  それで、法務大臣、最後、残りの時間ですけれども、ぜひとも、これはやはり僕は土台だと思います。民法というのは特に法律の土台だと思いまして、そこの書きぶりというのは大変重要でありまして、しかも、立法論的には問題ないとさっきおっしゃっていただいたんですから、では、なぜ私の提言について検討をしていただけないのか。

  もし立法論的に問題があるんなら、それはいいです。ところが、立法論的にも問題がないとおっしゃるんであれば、だって国会というのはまさにそういうところじゃないんでしょうか。だから、一言一句たりとも政府が出してきたのは変えないというのでは国会は要らないわけでありまして、国会というのは、結局そうやって議論を通して、ああなるほどなと思ったらそこは変えるというのが素直な考え方じゃないんでしょうか。

  いかがでしょうか、法務大臣。

○ 杉浦国務大臣  何回も申し上げておりますが、先生がなぜこの新しい今度の民法の三十三条二項を御理解いただけないのか、ちょっとわからないわけでございます。先生のお考えと矛盾しているわけでもございませんし、概念としては取り入れられていると思うんですね。立法論として当然御理解いただけると思うんですが、いただけないとすると、ちょっとどう申し上げていいか、答弁に苦しむ次第でございます。

○ 市村委員  いや、大臣、私もそう言われると質問に苦しむわけでありまして、どう質問したらいいのかよくわからなくなります。別に難しいことを言っているつもりは全くありません。だから、別にこのことを全くおかしいと言っているわけじゃありません。

  ただ、私はやはり、営利事業を営むことを目的とする法人に対しては、非営利事業を営むことを目的とする法人というのが素直に考えて対なんですから、そう書くべきじゃないですかと。そのときに、どうしても今までのなれ親しんだ「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人」という言葉、この言葉がどうしても、これまでなれ親しんだ人がいて、これだけ外してほしくないというんであれば、その人の気持ちにも立って、これも残しながら非営利事業を営む法人ということを書くこともできるじゃないですかということを申し上げているわけでありまして、だから、それも立法論的におかしくない、理念もおかしくないのであれば、それを、わかった、では一遍検討してみようかとおっしゃっていただくことは何かおかしいことなんでしょうか。

  大臣、いかがでしょうか。

○ 杉浦国務大臣  きのうお話をお伺いして、法律の専門家が法務省におりますので、どうかねというようなことで話もいろいろし、私も考えてまいったんですが、先生に御理解いただけるはずだと思ってここに立っておりますが、御了解願えればありがたいと思います。

○ 市村委員  いや、私が了解してそれで済むんなら国会は要らないわけでありまして、では、私が了解したらそれで済むんなら……(発言する者あり)それで済むんですか。それなら国会は要らないじゃないですか。我々は国民のためにこの日本をどうつくるかという議論をしているわけでありますから、私の了解は関係ないわけです。

  だから、まさに全国民の代表として今ここに参加していただいている委員の皆さんがこの議論をしながら、よっしゃ、いいものをつくっていこうという話でありますので、決して私が了解して済むものじゃないと思います。だから、私の了解よりも、杉浦さんはまさに法務大臣なわけでありますから、これは物すごい権限を持った方でありますから、私の一言はどうでもいいんですけれども、大臣の一言は大変重要であります。

  だから、やはり大臣が私のこの思いを、意見を聞いてどう思われるかということを政治家としてお尋ねしているし、私は、政治家から官僚の世界に入られた、官の世界にいらっしゃる法務大臣としての御見解をお聞きしたいということで申し上げているわけでありまして、法務大臣がよっしゃとこう言っていただいたら、また法務省の皆さんもやはり考えざるを得ないわけですね。だから、それをぜひとも御見解をいただきたいと申し上げているわけであります。(発言する者あり)

○ 伊吹委員長  いやいや、政府参考人じゃなくて、委員長から申し上げますが、これは最後は国会が決めることです。ですから、皆さん、この御意見をよく聞かれて、双方の主張を聞かれて、最後は国民から負託を受けている議員一人一人が決めることですから、お互いに、立法のやり方その他について方法が若干違うと思います、自然科学ではありませんから絶対的な答えはありませんので、だから、法務大臣もよく市村君のお話に対して考えを述べ、また市村さんも法務大臣の考えをよく理解してやる、その場になれば、一番委員会はいいんじゃないかと思います。

  法務大臣、最後に答えてください。

○ 杉浦国務大臣  一番当初申しましたように、先生のお考えを全く否定する気持ちはございません。私としては、この法律に書いてある法人を例示として掲げるのは最も適切だと思っておるんです。

  もう一つは、ある意味では、弁護士として法律の世界でずっとやってきておるわけなんですが、非営利事業を営むことを目的とする法人という言葉は、公益目的の財団法人とかそういう言葉に比べて、成熟度といいますか、意味はよくわかりますが、そういう意味からすると大改正で、民法は私法の基本法でございますから、そういうことからすると、民法が明治制定以来、当初から用いている言葉ですとか、会社法の規定も古いものでございますが、そういうものを例示として掲げた方が適切ではないかというふうに考えておる次第でございます。

○ 市村委員  では、委員長にぜひとも私申し上げます。先ほど委員長がおっしゃっていただいたように、まさに国会が決めることだということでありますので、今この議論、理事会等々でまたぜひともこのことを御議論いただいて、やはりこの国のためになる表現に改善できれば改善していただきたいということをぜひともお願いいたします。

○ 伊吹委員長  これも委員長が決めることではございません。国会議員一人一人が決めることでございますので、各委員は、このお話を十分よく聞かれて、理解されて、おのおのの一票を投じていただきたいと思います。

○ 市村委員  どうもありがとうございました。これで質問を終わります。