内閣委員会
 
平成1
9322

 
○ 河本委員長  次に、市村浩一郎君。

○ 市村委員  市村でございます。一時間賜りまして、質問をさせていただきます。

  今回のこの犯罪収益の移転等に関するという法律の目的については大変賛同するところでありますが、やはり今横光委員も議論させていただきましたように、いろいろと詰めておかなくちゃいけないことがたくさんあると思われますので、かなり細かい点にわたってもこれからいろいろと質問させていただきたいと存じます。

  まずは、そもそも論でちょっとお聞きしたいことがございます。

  今現在も金融庁がこうした役割をやっているということでありますが、今回、国家公安委員会ということになりました。ということは、現状では足りないということが前提になければ当然改正案は出てこないわけでありますから、現状ではだめだということだと思いますが、現状はどこが今問題があるのか、そのことをまずお聞きしたいと思います。

○ 米田政府参考人  金融庁は金融監督を主たる任務とする機関でございまして、現在、この制度発足以来、金融庁がFIUとして情報を分析し、捜査機関、犯則調査機関に提供をされてきたわけでございます。大変その努力は多とするわけでございますけれども、ただ、金融機関以外の業種を今度の改正で対象とするということになりますと、必ずしも金融監督ということだけで割り切れるものではなくなるということがございます。

  したがいまして、それを契機といたしまして、テロ対策あるいは組織犯罪対策の中核を担っております国家公安委員会にFIUを移して、そして非金融機関も含めた情報の分析、治安機関としての知見を生かした高度な分析を行うということにしたものでございます。

○ 市村委員  諸外国では、いわゆる捜査機関以外、つまり今の日本の現状のような金融庁がやっているケースと、捜査機関がやっているケースというのは、どのような状況になっているんでしょうか。

○ 米田政府参考人  捜査機関と言えるような機関に設置されておりますものは、現在、FATFのメンバーは三十一カ国・地域でございますけれども、そのうちの十七、これが捜査機関と言えるような機関に設置されてございます。あとは、金融監督を担うような機関、あるいは全く独立の機関といったようなものに設置をされていると承知をしております。

○ 市村委員  今、三十一のうち十七がいわゆる捜査機関と言えるような機関だと。ということは、引き算しますと、十四の国については金融庁、金融機関を統括する官庁もしくは独立機関だというような話だったと思いますが、では、その十四の国におきましては、いわゆる金融関係以外の、例えば今回いろいろ議論になっています弁護士会等とか、士業については入っていないということなんでしょうか。それとも、そういうものも含めて金融関係の省庁というか官庁がやっているということなんでしょうか。

○ 米田政府参考人  個々の国がどの事業者を対象としているかというその対象をすべて把握しているわけではございませんけれども、財政金融当局がFIUを行って、そして非金融機関も含めて全体を見ているという国ももちろんあろうかと思います。

  我が国でも、別にそれが理論上絶対できないというわけではなくて、多々ある事業者の所管省庁のうちの一番メーンのものが金融であれば、そこを取りまとめにするということも、それは不可能なことではないんですが、ただ、テロ対策、組織犯罪対策の持っている知見を生かして高度な分析をするというもう一つの政策目的、それも踏まえまして、国家公安委員会の方に移管されたものと承知をしております。

○ 市村委員  決して私、今回のことに反対をしている立場で話を聞いているわけじゃない。ただ、総じて、私は一般的に申し上げて、現状を変えるということはそれなりに大きな変革、特にこういうのは大きな変革、改革ですから、やはりちゃんとした理由づけがないといけない、こう思うわけであります。

  それで、諸外国でも財務当局等々金融当局がやっているというのにもかかわらず、今回、いわゆる国家公安委員会ということになるということについて、もうちょっと、テロ対策とか暴力団対策というのもあるのかもしれませんけれども、もっと何か深いところで、例えば本当に警察関係でいいのかとかいうこと。当委員会でもかなり警察の皆さんに対しては私も厳しい質問をしてきたつもりでありますが、そうした警察そのもののあり方等々も含めて、やはりきちっとした議論がなされなければならないと思っております。

  そうしたことについて、例えば、国家公安委員会ということにつきましても、この内閣委員会ではかなり議論をしてきたと思います。きょうは国家公安委員長もお見えですが、つまり、国家公安委員会に独自の事務局がないということも実はこの内閣委員会でかなり議論してきたところであります。しかも、警察庁は国家公安委員会に置かれるわけでありまして、国家公安委員会の中に警察庁があるというのが法律であります。にもかかわらず、国家公安委員会の実態というのはむしろ逆で、警察庁に国家公安委員会が置かれているかのような実態になってしまっているという流れがあるんですね。だから、実態は、今回の場合は、いわゆる警察庁に今回のこのFIUを置くということになっていると思います。

  そうしたことについて、警察内部で自分みずからのことを顧みてということはないのかもしれませんが、いわゆる今の省庁、つまり金融庁との間で、そうしたことについて懸念とか問題意識とか、こういうことはあったんでしょうか。そういう議論の中でそういうことはあったんでしょうか。

○ 溝手国務大臣  私の方からまずお答えします。

  本法案の業務主体ですが、これを警察庁長官なのか国家公安委員長、国家公安委員会なのかということも一つの議論であろうとは思います。内閣の中で組織犯罪、テロ等に関する資金源対策を中心になって進めていく上で、国務大臣を長とする国家公安委員会がその責務を有するというように明らかにする方が適当であろう、このように最終的に判断したところでございます。

  今後は、犯罪対策閣僚会議あるいは国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部、こういう政府の機関があるわけですが、こういうところを通じて、与えられた役割を積極的に展開してまいりたいと思っております。

  また、本法により国家公安委員会に与えられました権限につきましては、重要なものについては、警察庁の大綱を管理するというところにとどまらず、みずから法の施行に当たるということを明らかにして、必要な措置もとっていかなくてはいけない、このように考えておるところでございます。

○ 市村委員  国家公安委員長、最後をもう少し具体的に説明いただきたいんですが、要するに、今回、国家公安委員会はこれまでのあり方とちょっと違ってきて、国家公安委員会としての本来果たすべき、また私たち国民が期待すべき役割をもっと担うという方向性でもこのことは考えているんだということで私は理解してよろしいんでしょうか、最後の今の部分ですけれども。

○ 溝手国務大臣  警察法の規定にさかのぼるわけですが、警察庁の行う業務を総合的に管理していくというのが委員会に与えられた仕事になっております。それに加えまして、同じ法律の第三項には、固有の業務として国家公安委員会がやっていく仕事が書き込めるようになっておるわけでございます。

  今回の本件に関しての整理は、その部分として、我々が、国家公安委員会がこの業務を積極的に推進していこう、そして警察庁はその補佐をしていただこう、こういう整理を明確にして提案をさせていただいた、こういうところでございます。

○ 市村委員  国家公安委員会というと、例えば免許の発行とかこういうのを思い浮かべるわけですけれども、ではそれと比べても、それが比較できる問題じゃないかもしれませんが、極めてこの問題は大きな問題だということでありますし、例えば事務局体制については、何人ぐらいの規模でこれを行っていくのかということについてもう明確な姿は出ているんでしょうか。大体何人ぐらいでこの体制をとっていくか。

○ 米田政府参考人  この事務を行うために、国家公安委員会を補佐する警察庁におきまして、約四十人の課長級を長とする組織を現在予算でお願いしているというところでございます。

  ちなみに、金融庁の特定金融情報室は十七人でございますので、かなり大幅な体制の強化になろうかと考えております。

○ 市村委員  四十人ということでありますけれども、例えば、これがアメリカの場合というのは何人ぐらいか把握されていますでしょうか。

○ 米田政府参考人  アメリカのFIU、いわゆるFinCENでございますが、約二百九十名と承知をしております。

○ 市村委員  確かに、人口、経済規模等、二倍、三倍のアメリカでありますので、単純に比較できませんけれども、この四十というのでは、いかがでしょうか。いつも申し上げているんですが、私は必要なものは必要だということでありまして、何か、最初からなかなか大きくできないから最初はまず小さくねとかいうことではなくて、必要なものは例えば一挙にふやしても構わないと思っているんですが、本当に四十名で足りるというふうにお考えでいらっしゃいますか。

○ 米田政府参考人  これは主要国、例えば今アメリカのことを申し上げましたが、イギリスのFIU、SOCA、重大組織犯罪対策庁では、このFIUの関係で約二百人と聞いておりますし、ドイツを除きます主要国、大体三けたの人員を持っているところが多いわけでございます。

  先ほど言いましたように、金融庁が現在十七名、それを四十人にふやすわけでありますが、私どもとしましては、移管を受けました後の業務実態を見ながら、もちろん必要なものは要求をしてまいりたいと考えております。

○ 市村委員  もう少し現状認識を伺いたいと思いますが、日本というのは、そういった意味ではマネーロンダリングが盛んな国というふうにとらえられるべき国なんでしょうか。それとも、いや、そうでもないというお考えでしょうか。

○ 米田政府参考人  これは、ちょっと直ちに判断がつきません。

  ただ、一つ言えますのは、日本というのは、諸外国に比べて現金、キャッシュでかなり多額の取引もいまだできますので、マネーロンダリングをしようと思う者たちにとってはやりやすい環境にあるのではないかと考えております。

○ 市村委員  このことは極めて重要だと思っておるんですね。というのも、今まで金融庁は十七名でやってきた。つまり、十七名で日本全体の状況を見てきたわけですね。私は、多分ほとんど無理だな、十七名が一生懸命やられたんだと仮定しても、とてもこれはやり切れるものではないと。一方の方はいかにごまかすかということを考えてやっている集団なわけですね。それこそ、目の前に証拠を突きつけられても、そんなの知らぬと恐らくしらを切るような集団相手に十七名でやれるのか。しかも、今度四十名になったとしても、私はこれは本当にやれるのかなと。

  やはり実態が大切だ、単に勧告があるから形だけつくったというのでやった気になっていたのではだめだと思うんですね。本当にマネーロンダリングを防止したい、犯罪収益の移転を防止したい、そして、そもそもそうした犯罪が起きないようにしていきたいということであれば、本当にこれは四十でいいのかということは、これはやはり真剣に考えなくちゃいけないことだと思うんですね。

  十七名でやってきたという今までの金融庁の状況からすると、恐らくかなり日本は、私はよく実態把握していませんが、だから教えていただきたかったんですが、多分、マネーロンダリングをやりやすい国と認識されているのではないか。恐らくそうだからこそ今回のこのようなこともあると私は思っていたので、お聞きして、いや、実はそうだからこうだというふうに御説明があるのかと思ったんですが、言いにくいのかもしれませんけれども、それでもキャッシュ社会だということでやりやすいという御答弁がありました。

  やはりこの日本の中では、ここははっきりと、実は大変問題が大きくなっているんだ、年々、そういえば疑わしい取引についての届け出もふえているというようなことで、だからこそ今回もっと体制強化をする、体制強化をする意味で国家公安委員会なんだ、こういうことかなと私は思っておったんですが、いかがなんでしょうか。私の認識は間違っておりますでしょうか、これは。

○ 米田政府参考人  私どもから見ましても、金融庁は少ない人数で大変よくやってこられたと思います。ただ、例えば、これは三年前でございますが、IMFが我が国を調査した結果があるんですが、やはりIMFもFATFの勧告を基準として使っております。ここでやはり体制の不足、それから分析能力の不足といったようなものも指摘をされておりまして、国家公安委員会、警察庁といたしましては、FIUの移管を受けましたならば、それはその業務を遂行するに十分な体制を整えるべく努めてまいりたいと考えております。

○ 市村委員  これからということになるのかもしれません。やはりどうも、日本は昔から、スパイ天国だとか、いろいろこういう話もありまして、国際的には、どうもあの国は、情報漏えいとか資金流出とか、いろいろな意味でどうも信用ならないんではないかと一部思われている可能性があると思いますが、この認識についてはいかがでございますか。やはりそういうふうに思われているという認識が正しいんでしょうか。それとも、いやいや、そんなことない、言われているだけで、さほどそうじゃない。結構日本はちゃんとやっているぞ、情報漏えいとか資金流出とかについては、実は一般的認識ほどではないんだというふうに言っていいんでしょうか。その辺、ちょっとまた教えていただきたいと思います。

○ 米田政府参考人  大変お答えしにくい御質問でございますけれども、結構、日本の企業も役所も、しっかりしているといえばしっかりしているところもございまして、そういう意味では、私どもも、例えば捜査機関同士の国際的ないろいろな連携の中でいろいろな国とおつき合いをさせていただく中で、これは別に意図的というわけではないんですが、伝統が違うがために、ああ、ここまで情報開示してしまうんだとかいうようなこともございまして、そういう意味では、かなり一般的にはかたい国ではないかというようには印象は持っております。

○ 市村委員  それは、そう聞けて私はうれしいと思います。やはり信用というのは一番大切でありまして、信用がなかったら、幾ら口で言ってもそもそも信用がないわけですから、何も理解していただけないということになっていきます。

  だから、今回こうして国家公安委員会に移すということにおいて、やはりより信用が高まらないと意味がないということだと思いますが、その意味でも、どうでしょうか、今回、このことによってより国際的な信用が増す、もともとかたい国であるけれどももっと増すんだというふうに思っているということでよろしゅうございますでしょうか。

  これは国家公安委員長の方から、済みません、よろしいでしょうか。

○ 溝手国務大臣  そのとおりでございます。国際的な我が国に対する信頼を深めるために努力をしていると思っております。

○ 市村委員  今そうやって、そのとおりだとおっしゃっていただいたので、心強く思います。

  では、具体的なところにもう少しまた戻って質問させていただきたいんですが、そもそも、このFATFに入るメリットというのはあるんでしょうか。例えば先ほど、いわゆる除名までできるんだということもあったんですが、しかし、ここに入っているメリットがなければ、別に除名されたって痛くもかゆくもないわけでありますよね。むしろ除名されてほっとしたということになってはいけないわけでありますけれども、どうでしょうか、このFATFに入るメリットというものについて教えていただきたいと存じます。

○ 米田政府参考人  もともと、FATFが設置されましたのは一九八九年のアルシュ・サミットで、もちろん我が国もその生みの親の一人でございます。

  このFATFというのは、事実上、金融機関等に対する国際的な基準を定めておりまして、それに反する国とか金融機関に対しましては、共同して制裁的な措置をとられかねないというものでございます。

  そういった意味で、我が国として、あるいは我が国の金融機関等にとりましては、FATFから脱退をするというのはちょっと、現実的な選択肢としては、それはあり得ないんじゃなかろうかと思います。

  なおまた、国際的な信用という点からいきましても、やはりFATFの、しかもその中心的なメンバーであるというのは大変大きなことであろうかと思っております。

○ 市村委員  例えば、今でも三十三カ国だけが入っているわけですから、世界に今百七十か百八十ぐらいの国と地域があるとかいう話でありますけれども、入っていない方が多い。ただ、主要国は入っているようでありますが。

  例えば、今現在の非協力国といいますか、FATFに入っていないから非協力国とは言い切れないのかもしれませんが、FATFに入っていない国というのは、では何かしらのデメリットを受けているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○ 米田政府参考人  FATFそのものは、いわば先進国を中心とする、OECDのメンバーを中心とする三十一カ国・地域プラス二国際機関なんですけれども、各地域にFATF準メンバーというのがございます。例えばアジア太平洋では、APGと呼ばれております、これで三十二カ国ございます。そういったことで、アジア、ヨーロッパ、南アメリカ、中東・北アフリカ、ユーラシア、カリブ、東南アフリカ、西アフリカ等々で、これに準メンバーを合わせますと、ほとんど世界じゅうの国をカバーしているという状況でございます。

○ 市村委員  済みません、教えていただきたいんですが、メンバーと準メンバー、正規メンバーと準メンバーはどこがどう違うんでしょうか。

○ 米田政府参考人  準メンバーもFATF勧告を基準として動いている。ただ、これは事実上の問題なんでしょうが、FATFの勧告を満たす程度というのは、やはりそこには差があるようでございます。

  なお、現在、中国とそれから韓国とインドがFATFそのものへの加盟を申請していると承知しております。

○ 市村委員  例えば北朝鮮はFATFのメンバーなんでしょうか。

○ 米田政府参考人  北朝鮮はFATFのメンバーではございません。先ほど言いました準メンバーでもございません。

○ 市村委員  となると、例えば、日本は一部に北朝鮮との関係も深いところもあるようでありますけれども、北朝鮮との関係において、日本から資金が逃げるということは考えられるんでしょうか。つまり、こういうのは風穴があると、全部が網羅されているといいんですが網羅されていないと、結局そこに行くわけですね、多分、恐らく。

  たまたま今北朝鮮という名前を挙げましたけれども、どうも準メンバーでもないとなると、特に今日本は経済的には北朝鮮と関係があるわけでありますから、国交がないにしてもあるわけでありますから、そことの関係において、一体今までどうなってきたのか、また、これからどうなっていくのかということは、具体的には一番考えておかなくちゃいけないことだと思うんですが、それについては、今、警察庁、今回のことだけじゃなくて今までいろいろ警察庁が動いてこられていると思いますが、どうなんでしょうか、その辺の関係について。

○ 米田政府参考人  事は金融問題そのものでございまして、この法案によりまして国家公安委員会、警察庁がFIU機能を担うとはいえ、やはり例えば金融制裁でありますとか、国際的な金融の関係については、なかなかちょっと私どもでもお答えできない部分もあるわけですが、FATFに関して申しますと、メンバーに入っていない国でも、FATFの基準からして非協力国であるということになりまして、その遵守を促す、働きかけるということはあると聞いております。

○ 市村委員  ということは、つまり入っていないイコール非協力国ということになるんですかね、その非協力国であっても、いわゆる道義的にお願いするんでしょうか、いろいろなルートでお願いするんでしょうか、協力は得られている可能性があるという認識でよろしいんでしょうか、今の話は。

○ 米田政府参考人  国際的な金融ネットワークに北朝鮮が一体どの程度組み込まれているのかということによって、どういう措置をとるのかにも大分違いが出てくるんではないかと思いますけれども、いずれにしても、FATF勧告の基準を満たすようにさまざまな働きかけは行われているものと思います。

○ 市村委員  先ほども申し上げましたが、やはりこういうのは一つでも抜け道があるとそこに行くんですね。特に日本は北朝鮮との関係が深い国の一つだろうと思います。外交がどうであれ、実態上はそうとらえざるを得ない、とらえるべき国だろうと思います。ですから、そういうところに、特にこれから具体的にそういうふうな話になってくると思いますので、そうしないと、結局、幾ら勧告に沿って強化した、人もふやしてきた、ふやしていくといっても、具体的なところで抜け道があれば、皆さんそれを使うわけでありますので、そこのところできちっとやはり穴をふさいでいくという努力が求められると思いますが、国家公安委員長、いかがでしょうか、今の北朝鮮のことについても。

  私、北朝鮮をたまたま挙げましたけれども、要するに、多分穴があいていると思うんですね、どこかに。その穴をどう埋めていくかということが必要だ。そうしないと実態上意味をなさない。幾らやった気持ちになっても、実態上は流れ続けるとなると意味がないと思いますが、国家公安委員長の御答弁をいただきたいと思います。

○ 溝手国務大臣  先ほど来部長の方から説明しておりますように、FATFがほぼ全国際的な組織に広がりつつあるという中で、我々としては、やはりこのFATFを活用して北朝鮮にも対応していかなくてはいけないだろうと思います。

  現在の状態は制裁に入っているわけでございますから、我々としては金融関係的にその最大限のできることをやっている。日本としては対北朝鮮に対して金融制裁を行っているわけですから、金融関係においてはとり得るであろうほとんどの手を打って北朝鮮に対処していると申し上げていいんじゃないかと思います。

○ 市村委員  今、特に提携国じゃないところについての話をさせていただいたんですが、例えばタックスヘイブンと言われるところがありますよね。犯罪じゃないと思われるけれども租税回避措置で使われているということ、こういうことについてもやはりしっかりとした目を向けるべきだと私は思うんですが、こういうことは、今回はこのFIUでは対象としないということなんでしょうか。これは疑わしい取引に入っていないということなんでしょうか。

○ 米田政府参考人  タックスヘイブンである国あるいはそこに置いてあります金融機関、これをどうするかといった問題は、FIUの問題というより、もっと大きい金融行政の問題ではなかろうかと思います。

  FIUとしては、いろいろな疑わしい取引の届け出を集約、分析をするわけでありまして、その過程で、これは現在でもあるわけでありますが、お金の流れとして、一たんタックスヘイブンに流れてまた戻って来るというような、そういう情報というのはあるわけでございまして、そういうものは今後の、タックスヘイブンにある国に対してどうするかとか、いろいろなFATFの議論の中で活用されていくことはあろうかと思います。

○ 市村委員  ということは、今から議論の中で考えていくということになるんでしょうか。

  ちょっと済みません、もう一度もっと明確にお願いいたします。

○ 米田政府参考人  済みません、当のFATF全体の話、金融行政全体の話になりますと、ちょっと私どもから非常にお答えしにくい部分もございまして、こちらが承知している限り、過去も、タックスヘイブン、バージン諸島とかクック諸島とか、こういったところに対しまして、FATF勧告の遵守をFATFとして促してきたというように承知をしております。

○ 市村委員  そうしたことも含めてやはり考えておかないと、こうした犯罪というか、こうしたことに思いをいたす方はなかなかの知恵者でありますので、法律には違反しないけれどもというところをすれすれで行く可能性が高いんですよね。もちろん法律違反もあるでしょうけれども。表向きはそうしておいて、実はもっと莫大なお金は全然違うところに流すとかいうことも恐らくやるでしょう。

  だから、そうしたものに対して、やられているとは思うんですが、そうしたこともやはりきちっとやっていかないと、私さっきから申し上げているように、形だけつくっても実態は全然じゃじゃ漏れというか、日本からどんどんどんどん出ていって、そこで資金洗浄されて、また戻ってきて犯罪に再利用されるとか、そういうことになってしまうことになるわけですね。

  特に、犯罪に使われなくても、ある程度資金をためますと、それをまた運用してどんどん資金をふやして、それでまた太っていく、それで犯罪組織がまた肥えていくということだって今できるんですよね、ある程度金融の知恵があれば。実はもうそうなっていると私は思っているんですね。だから、単にテロ、暴力団という目に見えるところだけの話じゃなくて、本当に隠れて、いわゆる普通の市民の顔をし、国民の顔をしながら、実はそういうところがふえているということもやはりあると思います。そういうところに対してきちっと思いをいたさない限り、これは形だけやってもいけない、私はこう思っております。

  だから、そうしたことも含めて、国家公安委員会が意を決して、今回金融庁の既にやっていたことをもっと拡大してやるんだという志があると私は信じて質問をしているんですが、国家公安委員長、いかがでしょうか。こういう思いでよろしいわけでございますか。

○ 溝手国務大臣  御指摘のとおりだと思います。

  我々、この責任を引き受けたからには、金融庁でやっていたFIUの段階から、さらに一歩、国際的な信頼をかち得るステップを踏み出すんだというつもりで取り組んでおるところでございます。

○ 市村委員  ぜひとも、日本の信頼をかち得る意味でも、ただ、世の中というのは一筋縄でいかないと思うのは、日本はくそまじめに、生まじめにやっても、ほかのところで実はそうじゃなかった、表向きはやっていてもそうじゃないというところもひょっとしたらあるかもしれませんので、現実というのはなかなか大変だなというのは思っているつもりなんです。だから、そういった意味では、現場で御苦労されている皆さんはもっと大変なわけでありまして、日々理屈では割り切れない現実の中に身を置かれていると思います。

  そういうことでありますけれども、私としては、やはり日本が国際的に信頼され、日本国民がもっと国際的な尊敬をかち得る、そういう国にしたいと思っておりますので、国際的に取り決めがあるのであればそれに従って、それをしっかり履行していくということだと私は思います。

  これから細かいことをまたお聞きしていきたいと思いますが、今回、そもそも弁護士会の皆さん、ゲートキーパー法というふうに何か私は最初にお聞きしたんですが、このゲートキーパー法という意味合いと今回の犯罪による収益の移転防止に関する法律案というので、もちろん名称が違っていても別にいいんですけれども、このゲートキーパー法という弁護士さんたちが使っていた言葉は、当たるんでしょうか、当たらないんでしょうか。この法律を称するにふさわしかったんでしょうか、ふさわしくなかったんでしょうか、教えていただきたいと思います。

○ 米田政府参考人  ゲートキーパー立法とか世上そのように言われておりましたが、私どもはそういう言葉を余り使ったことはなかったのでございますが、資金の流れの中で場面場面でチェックをしていただく方がゲートキーパー、本人確認とか宅地取引の届け出をしていただくような方がゲートキーパーということで呼ばれていたんだと思います。

  法案の名前のつけ方は、あくまで日本の立法の伝統に従いまして、法案の中身が一番端的にわかるような、正確性と簡潔性を考慮して定められたものと思っております。

○ 市村委員  これで私のところにもかなり弁護士会の皆さんもいらっしゃって、大分議論させていただきました。何で弁護士の皆さんはそもそもこれに反対していたのか、一度また教えていただきたいと思います。それで、実際に今回、弁護士の皆さんは届け出義務から除外されたわけですね。この経過についても、先ほど横光委員もお聞きされていましたけれども、もう一度改めて教えてください。

○ 米田政府参考人  弁護士の取り扱いにつきましては、私どもも、マネーロンダリング防止というのは大変重要なものである、しかしながら、弁護士その他の士業者と依頼人の関係というのも重視をしなければならない、こういう考えで、守秘義務の範囲は届け出事項からは除外をする、あるいは対象業務の範囲も絞りまして、法的助言とか法律相談といったものが入らないようにする、それから、弁護士については、特に自主的な性格、どこの官庁の監督も受けていないという性格を重視いたしまして、届け出は弁護士会に行っていただいて、監督も日弁連、弁護士会の方から行っていただく、このような仕組みで考えておったわけでありますが、なお、依頼人との信頼関係に及ぼす影響についてはまだ懸念があるということも表明をされましたので、そのようなことを受けまして、私どもとしましては、今回の立法ではこれを見送ることといたしまして、引き続き検討をするということにいたしたわけでございます。

○ 市村委員  弁護士以外の士業者の方たちとの議論もあったとは思うんですが、同じ特定事業者でありながら、弁護士の皆さんだけは義務からは除外された、済みません、義務はほかの士業の方も除外されているんですね、保存義務について弁護士の方だけは除外されたのかな。

  ほかの士業の方というのは、反対はない、これで受けとめていただいているということでよろしいんでしょうか。

○ 米田政府参考人  この問題について業界として強く懸念を表明されてきたのは日本弁護士連合会でありまして、その他の士業の団体、これは各所管行政庁がございますので、そこが中心となっていろいろな話し合いを持たれておりましたけれども、これに対して目立った反対ということはないというように、私どもは所管行政庁からそのように聞いております。

  それから、先ほど委員おっしゃいました取引記録保存につきましても、行っていただく措置は、弁護士もそれから他の士業も今回の法案では同じであります。本人確認と取引記録の作成、保存をやっていただいて、そして疑わしい取引の届け出は除外をされる、こういうことでございます。

○ 市村委員  恐らく弁護士の皆さんは、弁護士でありますし、また、弁護士会という力強い組織を持っていらっしゃいまして、声を上げることができる力を持っていらっしゃるということであります。もちろん、弁護士の皆さんがおっしゃったことは大変的を射ていると僕は思います。大きな懸念があるということであります。だから今回はとりあえずは除外されたということだと思いますが、では、ほかのところがないかというと、私はないわけじゃないと思うんですね。恐らく、思っていても言えない、もしくは言っても声にならなかった、こういうことではないかと思うところもあります。

  だから、そうした声なき声というか、聞こえてこないようだけれども実はあるような声というものについても思いをいたしていただきたいな、私はこういうふうに思うわけであります。決してもろ手を挙げてこれに協力をしようということだけでもないなというのが、私もいろいろお聞きしていて、正直思っているところであります。

  ただ、先ほどから申し上げているように、この国のことを考えたり、業界のことも、ある意味では業界も結果的には守られるわけですから、そうした方たちに利用されないようになるわけですから、それはそれで業界にとってもメリットはあると思いますから、そのことも考えてのことだと思います。

  しかし、やはりいろいろな業務が発生してくるわけですね。もし届け出しなかった場合、一体どうなのか。うっかりとか、ちょっと面倒くさいとかいうこともあると思うんですね。言った方がいいに決まっているけれども、でも一々また言っていくのは面倒くさいなとか。届け出については今回義務化されたんですけれども。

  でも、そういった気持ちに対してもやはり思いをいたしていただいて、もちろん数少ない四十人でやられるということもあるんですが、もっと現場の、それこそゲートキーパー、まさにゲートをキープしていただいている皆さんはもっとつらい思いをされるかもしれませんね。ひょっとしたらこれまで友人関係だったかもしれない、知り合いだったかもしれない、その人たちに対して、どうもちょっとおかしい、社会のことを考えたらこれはやはり訴えなければいかぬのだ、届け出をしなくちゃいけないんだ、特に義務化にもなったしな、こうなってくるとなると、すごいプレッシャーもかかると思います。現場で相対していると、目の前の人が暴力団と思って届け出る、届け出ると、どうもすぐに動き始めた、だれがこんなのを漏らしたんやとなると、おまえやろ、こういうふうに大体わかってしまうケースだってあるかもしれません。

  そういうことも含めて、これを届け出るというのは、幾ら義務とはいってもなかなか勇気の要ることではないかと私は思うんです。

  だから、ぜひともそうしたことについてもやはり私は思いをいたしてほしいな、こう思うわけでありますが、国家公安委員長、いかがでございますか。

     〔委員長退席、平井委員長代理着席〕

○ 溝手国務大臣  気持ちはわかるんですが、ただ、恣意的に、ああ、そうですかとばかりは言っておられない面もあろうと思います。業者あるいは業界の立場に十分配慮しつつ、やはりしっかりした方針で対応しなくちゃいけないんだろうと私は思っております。

○ 市村委員  それでは、また弁護士会に戻るんですが、やはり弁護士会の皆さんが提案されたことというのは重要な論点を含んでいると思います。

  それで、今回はいわゆる届け出義務からの除外ということになったわけでありますけれども、先ほど横光委員も質問されていましたが、では今後どうするのかということも含めて、やはりこれはしっかりとしておかないといけないと思います。

  弁護士会の皆さんのおっしゃっていることが何か一時的なことだったらば、ではまた次も様子を見てという話になるんでしょうけれども、弁護士会の皆さんがおっしゃっていることはもっと本質的な問題であって、時間の問題じゃないことをおっしゃっていると僕は思うんですね。だから、時間がたてばそれでいいんだとかいう話ではなくて、時間がたとうがたつまいが、だめなものはだめというか、しっかりと踏まえておかなければならないことは踏まえておかなければならない、こういうことだと思うんですね。

  だから、それについて今後の課題ということになると、それだといかがかなと思うんです。今回の弁護士会の皆さんの御意見は聞かれていると思いますが、やはり今後もこれは検討課題なのか、それとも、いや、これはもう決着がついていることなので、届け出義務に関してはやはりもうここで一つの議論は終えて、それについては今後とも課すことがない、弁護士会の自主的な自治の中でしっかりとやっていただけるということでよろしいんでしょうか。そのことをちょっと確認をさせていただきたいと思います。

○ 米田政府参考人  弁護士会につきましては、今までいろいろ話し合ってまいりまして、私ども、基本的な考えにそんなに差があるとは思っておりません。日本弁護士連合会におかれましても、マネロン対策というのは大変重要であるというように認識をされておりますし、私どもも、立案に当たっては依頼者との関係というのを大変重視をしたわけでございます。

  ただ、最終的に、なかなかそこで、届け出の措置を行うということについてはまだ懸念があるということでございました。この問題につきましては、やはり難しい問題としては、どうしても国際的な動向というのは横目でにらみながらやるしかございません。

  もちろん、弁護士の意向、それから依頼者の意向というのは大変重視しなければならないわけでございまして、私どもは、弁護士会の担当は法務省でございますので法務省とよく連携をしながら、日本弁護士連合会等と十分に話し合って検討してまいりたいと考えております。

○ 市村委員  ですので、検討するということは、つまり検討の余地があるということですから、これからまだ義務化については話し合いを続けていくということに素直にとるとなるわけですけれども、いや、だから、別にそれをここで議論をするとかしないとかということがいいとか悪いとかいうことを言っているんじゃないんです。するかしないかなんですね。だから、やはり検討はしたいんですというのか、いや、届け出の義務化についてはもう議論は終えているとするのかというのをちょっとお聞きしたいんですね。いい悪いは私は判断はしていませんので、そのことを教えていただきたいと思うんですが。

○ 米田政府参考人  届け出の義務化を以後一切しないというのは、これはさすがに国際的にそこまで思い切った決断は今の時点でできないと思います。

  ただ、国際的な動向もにらみながら、ですから、この問題について、国際的にいってどの程度評価されるのかとか、あるいは違うようなやり方でどこまでいけるのかとか、いろいろなことも考えながら、そして弁護士会の懸念というものも、こういうことであれば一体どの程度なのかとか、いろいろなパターンがあり得まして、先ほども申しましたように、私どもや法務省もそうですし、弁護士会の方としてもやはりいろいろ知恵も出していただいて、何とかよりよい方向に進んでまいりたいと思っています。

  ただ、これで今、何か最初に結論ありきのような、そのような議論の仕方をするつもりはございません。

○ 市村委員  先ほども申し上げましたように、弁護士会さんの指摘というのは、もうよくわかっていらっしゃるとおり、別に時間がたったから変わるということではないと思います。ただ、国際的情勢も踏まえて、全くそれをこれから一切議論をしないということではないということだったと思いますが、しかしながら、今回のことは踏まえた上で、しっかりとその辺は考えていくということだという御答弁だというふうに私は認識しておりますので、ぜひとも今お話しされたことをしっかりと踏まえていただきまして、これからまた事に当たっていただけたらなと思うわけであります。

  やはり依頼者との信頼関係というのは、これは弁護士さんだけじゃなくて、多分、ここにいる皆さん全員そうだと思います。だから、もちろんその中に、先ほど申し上げたように、確かに知人だし友人だけれども、どうもこれはおかしいなと、なぜか知らなくても、相談に来られた方がどうもこれはやはりおかしいぞということはあるわけですよね。やはり個人的には大変悩むと思います、先ほども申し上げたように。ただ、悪いものは悪い、ここで思い切ってやらないかぬということで、やはりこれは決意が要るわけですね。これが知人とかであったりすると特にその決意は要るわけでありまして、やはりこれは人の情というのもありますから、こういうところにも思いをいたしておかないと、なかなかぎごちない社会にもなっていきます。

  だから、この辺のバランスをどうとっていくかというのは非常に難しいところではありますが、ぜひともそういうところも踏まえながら、またいろいろと議論をしていただきたいなと思うわけであります。

  それで、あと、もう少し細かいところを詰めていきたいと思いますが、今回、立入検査というものができるようになるわけですね、都道府県警が。そうなると、警察というのはまさに捜査機関ということでありますから、犯罪捜査との混同が生じないかという問題が出てくると思いますが、これについての対策というのはいかがされていますでしょうか。

○ 米田政府参考人  過去、犯罪捜査あるいは犯則調査といった令状主義に係るような行政機関の活動とこういう行政調査との混同というのがよく議論には上っておりましたが、それは、一つの制度の中で、罰則あるいは罰則適用を前提とした告発というのがなされるような手続と行政調査が混在をしているというような場面でございます。

  今回の制度につきましては、事業者の義務違反に対して罰則はもともとついておりませんので、行政調査をして行政処分をする、そのルートしかございません。もちろん、警察は捜査機関でございますので、それはいろいろ意地悪い目で見ていただければ、それとは全然関係ない犯罪捜査に利用するんじゃないかみたいなことを言われると、これはもうそこまで信用されないと何もできなくなってしまうわけでありますけれども、制度上そのようになっておりますし、私どもも、その運用にはもちろん慎重を期してまいりたいと考えてございます。

○ 市村委員  まさに今おっしゃっていただいたように、警察に対する信頼の問題というのもあって、また別件で何かやるんじゃないかという懸念もやはり持たれている部分もあるわけですね。これで立入検査して何かやったらいろいろ出てきて、ほら見ろ、こんなことをやっていたのかといってやられるんじゃないかという、その一つの理由づけにされるんじゃないかというおそれをやはり持っておられる方もいらっしゃるわけでありまして、いわゆる捜査ということでは、別件捜査ということでいろいろ問題になる場合もありますが、そうしたことにならないようにしていただきたい。

  そのためには、やはり確固たる情報収集が必要だと思われるわけでありますが、その体制というのはいかがなんでしょうか。やはり確固たる情報を知った上で、この件について立ち入りということになるわけですね。その辺の情報収集のあり方についてはどういうような体制をとろうとされているんでしょうか。

○ 米田政府参考人  この制度で、国家公安委員会において、事業者に直接その報告を求めたり、あるいは都道府県警察に指示をして調査させたりということのためには、まず要件として、所管行政庁に対して意見陳述をする場合といいますか、その意見陳述に必要な限度においてそういう調査ができるというわけでございます。したがいまして、意見陳述をしようと思わなければならぬわけでありますから、そのためには、当然、意見陳述をしようとするだけの具体的な問題を国家公安委員会において把握している場合に初めてこういうことが行われるということでございます。

  具体的な問題はどういう場合に把握するかということは、これはいろいろあろうかと思いますけれども、一つは犯罪捜査の過程で、これは大マネロン事件で、しかし、特にどうもここの事業者のところで余りにチェックが甘過ぎてこうなったんじゃないかみたいなことが判明するという場合もございます。それから、外国が絡むマネーロンダリングというのもよくあると思うんですけれども、それは外国FIUからの通報でわかるというようなこともあろうかと思います。

  そういうことで、具体的な問題が把握されて、ただ、意見を言うためには事実関係を確定しなきゃいけませんで、そこで、他の行政機関の行政調査を補完するという意味でこのような調査を行うということでございます。

○ 市村委員  あと、この届け出義務については罰則がないということをさっきおっしゃいました。

  罰則がないということになりますと、義務とはいえ、ここは先ほどもちょっといろいろ申し上げているんですが、情において忍びない場合があった場合、これは情の方を優先して届けない、罰則もないし君と僕との関係だから、こうなってしまった場合について、ではこれを、なぜ言わなかったんだといっても、いや、言わなかった、これは事実だ、しかし、どうでもしてくれといってもどうにもしようがないということになるわけでありまして、これについては、諸外国の場合は届け出義務については罰則を科していないのでしょうか、どの国も。ちょっと教えていただけますでしょうか。

○ 米田政府参考人  例えば、イギリスは刑事罰を科しておりますし、アメリカは、刑事罰と民事罰と、何か故意か過失かによって区別するそうですが、そのようなものが科されております。我が国の場合は、これはいろいろ法体系によって違いますけれども、こういう届け出義務に直接罰則を科するというのは、構成要件の明確性からしてなかなかそこまでできるものではございませんで、むしろ、事業者と監督行政機関とのキャッチボールの中でだんだんとある意味では精度を上げていくというようなことが期待されているものと考えております。

○ 市村委員  すなわち、刑罰の対象じゃないけれども行政的手段でこれを解決する方向に向かわせる、こういう話だと思います。

  一般的に、日本はそういった意味では司法によらず、これまで行政的に物事を解決してきた国だったと思いますが、しかし今の現状の流れは、そうではなくて、やはり何かあった場合は司法にゆだねようという流れになっているのかなと私は思っていますし、そうあるべきなのかなと思っています。

  これだけ社会が複雑化してきますと、昔みたいにある種行政的にまあまあ、なあなあでやっていた時代も、僕はノスタルジック的にはすごく懐かしいというか、そうあってほしいなと本当は思うところもありますけれども、なかなか難しいのかなと思います。そうすると、やはり罰則がないということについてこれから検討が必要だと私は思いますが、そのことを最後に国家公安委員長の方から伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○ 溝手国務大臣  先ほど来、いろいろ議論が行われましたが、一番は、犯罪捜査のために認められた調査ではないということは明らかにしておかなくてはいけないだろうと思いますし、国家公安委員会に対して事前承認を求めることが前提になっております。当然、我々サイドとしては、十分その重大性を認識して対応しなくちゃいけないと思います。

  そして、この処分自体が行政措置でございますので、我々がたとえ立入調査をいたしましても、効力というのですか、その波及するのは各省庁の指導のところ、そして、その次のステップとして是正ということにつながるんだろうと思います。基本的人権に匹敵する問題だと考えるべきだと思っておりまして、そういう意味で、業者の取引を阻害することがあってはならないと考えているところでございます。

○ 市村委員  最後に一言だけ。

  恐らく、罰則があったらこの問題、もうちょっといろいろ議論が必要だったのかもしれません。ですから、この辺は極めて難しいかもしれませんが、また今後、このことについては議論を続けるべきだと思いますので、そのことを指摘申し上げて、私の質問を終わります。

  ありがとうございました。