内閣委員会議事録
平成20年4月4日
○ 中野委員長 次に、市村浩一郎君。
○ 市村委員 民主党の市村でございます。
四十五分いただきまして、また引き続きといいますか、私は、非営利法人についての議論を岸田大臣ときょうはじっくりさせていただきたいと思っております。
まず、今政府も進めておられる民間の公益を増進するための制度におきまして、なぜ特定非営利活動法人をそこから今は外しているのか、これについて改めて政府の御見解、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○ 岸田国務大臣 まず、新たな公益法人改革につきましては、御指摘のように、民による公益増進を図るという目的を掲げて、主務官庁による認可制から、民間有識者による第三者委員会が明確な基準に基づいて認可をする、こうした体制を目指す、これは画期的な改革だというふうに思っております。
そして、この改革を進める際に、御指摘いただきました特定非営利活動法人の取り扱いについて議論を行ったわけでありますが、その特定非営利活動法人につきましては、今のこの社会において大変大きな役割を果たしていただいている、そして多くの法人が今存在をしている、こうした現状を踏まえ、そして、その設立の要件等も異なる等、いろいろな条件の違いもあります。さまざまな諸条件がある中で、関係者の御意見もしっかり聞かせていただいた上で、どう取り扱うかという議論が行われ、そして、結果としまして、特定非営利活動法人につきましては現状の形で御活動いただき、そして新たな公益法人改革につきましてはことし十二月スタートをさせていただくという判断に至ったということでございます。
○ 市村委員 今四つおっしゃっていただいたと思います。
まずは、特定非営利活動法人が社会で大きな役割を果たしているだろう、第二番目に、数が三万三千ということでありますけれども、かなり多いということ、それから三番目に認証という、今回は特定非営利活動法人は認証なんですが、そういう法人格の認め方の問題、それから、関係者の御意見をお聞きになられたという四点で、特定非営利活動法人については今回はこの新しい制度には入れない、こういうふうに今私は理解したわけでありますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
○ 岸田国務大臣 今申し上げたのは、大きくその四点かと存じます。それを中心に幅広く御議論をいただいた結果だというふうに思っております。
○ 市村委員 では、まず大きな役割というところから私は議論をさせていただきたいと思います。
この委員会でも、私は再三、現状を申し上げさせていただいていると思います。もちろん特定非営利活動法人が意味がないということを言っているつもりはありませんが、もう制度も十年たってきまして、現状を見ると、例えば、調査報告とかも出ていますけれども、平成十七年度における市民活動団体基本調査ということで、特定非営利活動法人の運営上の課題ということで、やはり一番大きな悩みは、活動資金が不足している、実に七割を超える団体がそういうふうに言っているわけですね。それから、スタッフ数が不足している、五二・四%。こういうことで、結局お金と人がいない。これは組織にとって致命的な問題であるわけでありまして、これが三年前の調査ということでありますが、既に三年前でこういう状況である。
では、それがこの三年間、好転しているかというと、好転どころか逆にもっと悪化しているというふうに私は認識を持っております。というのも、例えば、介護保険に基づいて介護活動をやっている団体というのが特定非営利活動法人にはかなり多いわけでありますけれども、この三年間を見ますと、介護保険に対する大きな改革もありました。そうなると、もう撤退せざるを得ない、もう活動できない、こうした悲鳴を上げていらっしゃる団体も大変多いわけであります。だから私は、この三年間、恐らく状況は悪化しているだろうと思っています。
ですから、大きな役割を果たしているという部分が、どの団体がどう大きな役割を果たしているのかということが、実はまだ漠とした議論だろうと思うんですね。次の数の問題にもかかわってくるんですが、三万三千もあるからそれは大きな役割を果たしているんだろう、そういうふうにもちろん想像できなくもありません。三万三千もあれば、いろいろな団体があって、それは活躍してくれているんだろうと。
それはもちろん、この制度を利用して、かなり制度的には不十分ながら一生懸命頑張っている団体もあるわけです。しかしこれは、特定非営利活動法人制度があるから頑張れているんじゃなくて、そもそもどういう制度状況であろうと、志高い人が、ない中で何とかいろいろな知恵を絞りながらやっているというのが現状なんですね。これは実は特定非営利活動法人制度が導入される前も同じような状況だったんです。
しかし、それではいけないと。そうやって社会のために一生懸命やってくださっている方たちがいて、組織的にやっている。一、二年ぐらいはみんながお金を出し合って、よし、やろうよとやっていても、だんだんだんだん疲弊していくわけですね。だから、こういう状況をもっと支えるような基盤となる制度をつくらなくちゃいけないというのが、このNPOの議論なんですね。それで一定の形として特定非営利活動法人というものができたんですけれども、やはりさっきから申し上げているように、大きな役割を果たしているということについては私は疑問だと。
もちろんそういうお志を持ってやっていらっしゃる方も多いと私は思いますが、客観的に見た場合、なかなか、これもこの委員会で申し上げましたが、立ち枯れ状態になっているんじゃないかな、こう思わざるを得ないんですね。
二番目の数の問題についても、数が三万三千あるからこれはなかなか変えられないのだという話かもしれませんが、例えば公益法人も、今は二万六千ぐらいなんでしょうか、かつては二万七千、八千ありましたが、これだけの数があっても今回は変えられるわけですね。つまり、数が問題じゃないわけです。数が大きかろうが、とにかく今の制度に問題があるからしっかり改めていこうということで、公益法人、民法法人の改革もしているわけですね。だから、数が多いから変えられないんだという話ではないと私は思うんです。
だから、大きな役割を果たしているからという点についても疑問でありますし、数が多いからといって変えられないのであれば、公益法人も二万七千もあったら変えられないというロジックになっていなくちゃいけなかったんですけれども、今回、私は大変評価していますが、変えるわけです、民法三十四条を削除するわけです。大変、大改革をしているわけです。そこまで踏み切ったのであれば、今この特定非営利活動法人の現状を見た場合、これでいいのかということを、これはやはり客観的にしっかりと見直していくべきだと私は思います。
それから、今度の、一般社団、一般財団は登記だ、特定非営利活動法人は認証だということで、またこれも違うから特定非営利活動法人は存置すべきだというような御意見かもしれません。しかし、前にも何回もこの場でも申し上げておりますが、そもそも特定非営利活動法人を入れるときの議論、その前提となる議論においては、まさに今回政府でお進めされているような、一般社団、一般財団のように、準則主義的に登記で法人格を取得する道を開きたいというのがみんなの要望だったんですね。これはぜひとも見てください、皆さんの要望はそうだったんです。だから今回、政府はそこまで踏み切っているわけです。ということは、特定非営利活動法人の皆さんにとってみれば、認証よりもこっちの方がいいと思うに決まっているんですね。あのときの議論はそうだったんです。
この間も申し上げたように、制度のことはほとんどみんな知りません。別に制度があるからやっているわけじゃなくて、何かやろうとしたときに、どの制度がいいかということで、たまたまこの特定非営利活動法人という制度があったから利用しているという話であって、別に、制度があるから、それがとうといからという話ではないんですね。
今の言い方はちょっとわかりにくかったかもしれませんが、すなわち、例えば株式会社を起こす人が、株式会社の法律を見て、ああ、こんな美しい法律があるから私は株式会社をつくりましょうなんということは思わないわけです。特定非営利活動法人制度は、どこかそういう、今申し上げたようなところがあるんです。法律があるね、いいね、だからつくろうか、本来そういうのはおかしいわけです。株式会社の法律が美しいからといって、それで株式会社をつくりましょうとは思わないんです。もっと違う、まずいいサービスを消費者に提供して、喜んでもらって、もうけさせてもらって、株主にもそれを配当しましょうということでやっているわけでありまして、法律が美しいから、法律がいいから株式会社になりましょうという話じゃないんですね。特定非営利活動法人については、実はそういうところがあるということなんです。
だから、何か制度論で、例えば認証だからいいとかなんとかというのはどうでもいい議論だと私は思っています。それよりも大切なのは、まさに政府もおっしゃっているように、大臣もおっしゃっているように、民間の公益活動をどうやってこの日本という国に花開かせるのかということが大きな目的だろうと思います。
それから、関係者の意見ということですが、これが私、不思議なんですね。私が聞いている関係者の意見は、少なくとも政府がおっしゃっている関係者の意見とは全く違うと私は思っているんですね。一体どなたが何をおっしゃっているのかわからない。
私が特定非営利活動法人の何人かの方に、実はこういう制度があってということで、今私がここで議論していることをお話しするわけです。そうすると、それはそうであってほしいとおっしゃるわけですね。しかしと私が申し上げるわけです。どうも皆さんの代表とか称する人たちがこれを外してくれと言っているそうなんですが、知っていますかと言ったら、そんなこと全然知りません、だれがそんなことを言っているんですかと、話がこうなるんですね。一体だれの意見をとって関係者の意見としているのか、私はこれもよくわからないんです。少なくとも私がお聞きしている御意見とは違うんです、これは。
だから、かつて小泉さんが人生いろいろとかおっしゃいましたけれども、いろいろ意見はあるんでしょう。しかし、いろいろ意見があったとしても、政治家というのは、いろいろ違う意見がありますが、それをしっかりと踏まえてこういう国会で議論して、しっかりと調整しながら一つの制度をつくり上げていくべきものだと私は思っています、霞が関の皆さんと協力しながら。
だから、もちろん意見を聞くことは大切なんですが、しかしそんな、三万三千団体全部の意見は聞けません。しかも、三万三千掛けるスタッフ数がいて、そうしたら何十万人という関係者が特定非営利活動法人にはいるわけですね。これは全員に聞いていくわけにいきません。だから、いろいろな方にある程度の意見をお聞きして、集約して考えてみると、やはり、ああ、皆さんが求めているのはそうなんだなということに落ちつかざるを得ないんですね。
かつ、私の場合は、この特定非営利活動法人を入れるときの制度に、ある種、中心的にかかわった一人だと思っていますので、あのときの議論から考えると、先ほどから申し上げているように、まさに今回政府が進めようとしているような制度というものを、あのときに私たちは求めたんですね。だから、異存ないはずなんです。今、特定非営利活動法人になっていらっしゃる方たちも、そういういい制度があるならそっちに入りたいと思うはずなんですね、素直に考えれば。だから、何でそれを、いや、関係者の意見があるからというふうに排除されるのかわからないというところでありますが、岸田大臣、御見解をいただきたいと思います。
○ 岸田国務大臣 市村委員からいろいろと御指摘をいただきました。
幾つかの御指摘の中で、まず、活躍の部分ですが、今、特定非営利活動法人が現状どれだけ活躍しているのかというところですが、例えば、内閣府においては事業報告書等の提出、これは対象法人に対して提出をお願いしているわけですが、こうした書類の提出につきましても、督促書を発送しても提出がなかった割合というのは六・三%程度だという資料があります。また、三年連続して事業未実施と記載された法人、これも全体の四・二%という資料があります。これは、裏返して言いますと、それ以外の多くの法人は実際に活動をしておられるというふうに認識しております。
また、こうした特定非営利活動法人に対する支援ということにつきましては、認定非営利活動法人制度という制度を設けて寄附を促進していく、こうした制度を設けているわけですが、平成二十年度の税制改正においても、こうした内容を改正して充実させることによって、しっかりとした支援体制を充実させていくことに努めているわけであります。そして、寄附だけではなくして、人材あるいは情報、こういった面でも支援するということで、特定非営利活動法人制度をしっかりと支えていかなければいけないということで努力をしているところであります。
こういったことから、先ほどの数字に加えて、こうした努力によって、現在、この日本の社会において、こうした関係者の皆様方に大変大きな役割を果たしていただいているというふうに認識をしております。
そして、二つ目の御指摘で、数が多いから新しい制度に合流することはできないんではないかと言っていたけれども、やはり数が多くても新しい制度はスタートするんではないか、この辺はどうかというような話がありましたが、これにつきましては、やはりこの二つの制度は、認可なのか認証なのか等も含めて、要件が異なるということもありますし、そして、こうした要件を備えて、その制度をスタートさせた後の、寄附ですとかさまざまな優遇制度等も違いがあるわけでありますし、やはり選択の幅を持つということは大変重要ではないかなというふうに思っています。民による公益の増進を果たすために、こうした制度において、選択の幅をしっかりと確保するということは大切なことではないかなと思っております。
準則主義についても御指摘をいただきました。この制度を議論する際に、有識者会議の中でも準則主義について御議論があったということ、私も資料を拝見したことを記憶しております。こういったさまざまな議論の中で、とりあえず、選択の幅を持たせた上でこの制度をスタートするという結論になったというふうに認識をしております。
そして、関係者の意見についても御指摘をいただきましたが、この制度を議論する際に、そして構築していく際にさまざまな御議論をいただいたということで、その点について、市村委員と私が把握している意見と、ちょっと食い違いがあるという御指摘であります。
この辺につきましても、一度検証もしたいとは思いますが、こうした民による公益の増進をめぐる環境というのは、やはり刻々と変化をしていると思います。日本の社会もどんどんと変化をしていると思います。この変化の中で、引き続き関係者の皆様方の意見をしっかりと聞かせていただくことは重要だと思っておりますので、今、十二月から新しい制度がスタートするわけでありますが、この制度のスタートは混乱なくスタートさせたいと考えております。そして、そういったスタートが切られた後も、関係者の皆さんの御意見はしっかりと聞かせていただき、将来に向けてさらに検討する余地がないか、さらにこの制度の改善の余地がないか、こういったことにつきましては、しっかりと考えていきたいと考えております。
〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕
○ 市村委員 本当にずっとこの議論をさせていただいていて、今、大臣がおっしゃったことも、わからぬでもないといったら終わってしまいますけれども、でも、例えば選択の幅を広げるといっても、さっきから申し上げているように、選択というのは質的に違うものがあった場合に選択になるんですが、これはもともと質的に同じなんですね。変わらないものを、ただ単に、こっちは認証だから、こっちは準則主義だからと、中身がほとんど同じなものをラベルが違うから選択なんだという話にしているようなものだというふうに私は思うんですね。
世の中には、そういうこともひょっとしたらあるのかもしれません。中身がほとんど同じでも、ラベルが違ったらまた売り方も違うし、消費者が持つ印象も違うからいいんだということなのかもしれませんが、そういうものとこういう基盤となる制度というのは、やはり同じじゃないと思いますね。
だから、こういうまさに民間の公益活動を支える基盤となる制度を今つくろうとしているときに、やはりその基盤というのは一つであった方がいいわけですね。しっかりとした土台を築いてあげた方がいいわけです。その土台の上に乗っかって、いろいろな選択肢があるような世界をつくってあげることが必要だと私は思っているんですね。
だから、私の言っている議論は、その土台づくりを申し上げているわけです。土台づくりのところで、選択の幅というのは、こっちの土台とこっちの土台ということよりも、土台は一つだと。非営利組織というもの、つまりNPOを支える土台は一つであって、その土台の上にいろいろな花を咲かせましょうよ、木を育てましょうよ、こういうための土台づくりの議論をしているつもりなんですね。
そのときに、特定非営利活動法人の制度を入れようとしたときの議論を踏まえて考えると、先ほどから申し上げているように、今まさに政府がやろうとしていることはそれだったわけです。だから、皆さんに、そんな十二月一日を待たないでどんどん議論を集約していただいて、例えば公益法人も、民法三十四条法人も、特例民法法人として五年間存置されるわけですね。それで五年の間にどうするかという選択肢を、それこそ選択すればいいわけです。
であれば、特定非営利活動法人も、五年間存置して、そこに一緒に入れる、取り込む、そして五年の間にどうしますかという議論をしていけばいいと私は思うんですね。急になくせと言っているわけじゃないです。だから、公益法人と同じようにやってあげればいいんじゃないかなと私は思っているんですね。
それで、五年間もありますから、そのうちに、今、岸田大臣がおっしゃったように、世の中の情勢がいろいろ変わるかもしれません。そうしたら、そのときにまたそこで新しい議論が行われるかもしれません。でも、一応入れておくということで、五年間ですから、これは五カ月だったら厳しいかもしれないけれども、五年もあるわけですね。今のこの時代、五年もあると、これははっきり言ってさま変わりするんですね。十年前と今日の日本とを考えたら、本当にさま変わりしているわけですね。
だから、そういうことを考えると、五年という長い期間をいわゆる民法三十四条法人にも与えているのであれば、特定非営利活動法人にも与えて、そしてまさに選択してもらう方が、私はこれまでの、十八年来のこのいろいろな議論を見てきて、それが自然であり、素直なものだというふうに思うんです。
なぜそれをあえて、いや、こっちは認証でこっちは準則主義だからこれは選択が広がるんですとか、要件が違うから選択が広がるとかいう話に、あえてそこに、私は、何か苦しいんですね、お聞きしていると。どうしてそういう苦しい説明をしてまでこの特定非営利活動法人制度を存置しなくちゃいけないのか、残さないかぬのか、本当に私には理解ができないんですけれども、大臣の御意見をいただきたいと思います。
○ 岸田国務大臣 この制度の議論につきましては、これまでいろいろな議論が行われ、そして今日もいろいろな意見や議論があるということ、御指摘のとおりだと思います。
そして今、委員のお話を聞いておりまして、今この政府として行おうとしている改革、そして私自身の考えも、基本的には委員の考え方とそんなに方向性や中身に違いはないのではないかと感じております。要は、今、時代がどんどんと変化している、世の中も変化している。走りながらこうした制度も見直していかなければいけない。そういった点では同じスタンスなのではないかなというふうに思っています。
今、委員の方から、とりあえず一緒にした上で、またこの見直しも考えたらどうかというお話がありました。
今、政府としましては、とりあえずこの新しい公益法人制度、これは委員の方からも、八割方、内容に満足しているという評価のお言葉をいただいたのも記憶しておりますが、そういった評価をいただけるような制度をとりあえず十二月、スタートいたします。
しかし、これは最終的な結論ではないと思っています。時代の変化とともにまたしっかりと見直しをし、新たなよりよい制度がないかどうか、こういった検討を続けていくということ、これは当然のことだと思っています。
このように、まずはひとつ、政府としては新しい制度をスタートさせ、そして不断の見直しを行っていく。このスタンスを大切にしながら、また委員等関係者の皆様方の意見もしっかりと聞かせていただきながら、よりよい制度を目指していく、こういったスタンスは大切にしていきたいと考えております。
○ 市村委員 私は、本当に岸田大臣のおっしゃることも理解できるんです。
ただ、何度もさっきから申し上げているんですが、基盤づくりというのはやはりしっかりとしておく。もちろん、いろいろな時代の変化に応じて、いろいろな制度というものは、このNPOの制度に限らず見直していくのは当たり前の話なんですね。ただ、やはり基盤だけはある程度しっかりとしたものをつくらないと、基盤がずれてしまったら、土台がずれたらだめなんですね。だからこの土台づくりなんです。
それで、私は、政府のものは八割というか、一応八合目までようやく来た、でも、最後の二合、最後の頂点を目指すときが実は一番苦しいし、危ないんだということも申し上げているんですね、やはりそういう状況にあると。いいところまで来たんです。やっと頂上が見えたんですね。二合目、三合目をうろちょろしていて、どこに頂上があるやらと思っていたら、何か突然八合目までぽんと飛んできて、おっ、あれが頂上かというところまで見えているんです。でも、この最後のアプローチは、これが一番厳しい、険しい。しかし、それをやらないとやはりいい土台はできないという流れなんですね。
やはり公益法人の改革、つまり、これは行政改革から始まった改革なんですね。でも、そもそも何で民法法人の改革が行政改革なのかということは、前もずっと御指摘申し上げていることなんですね。しかし、そのように、本来民法の、つまり民の組織であったものが官の組織になってしまったという反省から、民法三十四条も削除し、この公益法人改革があるわけです。やはりもともと民の組織であったものを民に戻しましょうという話で来ているわけですね。
それで、何とあの公益法人が変わるわけです。公益法人制度が変わるわけです。これはすごいことだと私は思っています。まさに本当に大改革だと思っているんですね。そういう大改革に踏み込んだ政府であれば、これまでの特定非営利活動法人の議論も踏まえれば、当然すべてを取り込んで、非営利法人のというか非営利組織の、NPOの基盤をしっかりとつくろうという話でなければならないと私は思っているんですね。
その議論をさせていただいているわけです。私はずっとその議論をしてきた、その基盤づくりの議論をしてきたわけですね。そのときに、これから変わる、もちろんいろいろな状況があって、いろいろな制度が変わって、いろいろな手直しは必要ですけれども、やはり基盤だけはしっかりとしておかないかぬ。そのときに、やはり特定非営利活動法人の生まれ方から考えて、当然、今回の大きな改革の中に一緒に議論をし、一緒にやっていくのが私は当たり前だと思うんですね、今までの議論とか今までの流れから考えて。
しかも、特定非営利活動法人の皆さんが、いやいや、もうこの制度で十分満足して、三万三千団体がそれこそ、いや、だめだ、もういいんです、これでもう十分やっているのに、なぜそんな制度に入れられるんですかと言っていらっしゃるなら別です。そうじゃなくて、どないしようか、お金もない、人も集まらない、一、二年やってきたけれどももう疲れちゃった、こういう話になっているんですね。
だけれども、一応、未実施四・二%、何とか頑張っているんです。多分、年に一回か二回集まって、どないしようかという話をしているのも実施ですよね、これは。報告書ぐらいは何とかつくれますよ、それは実態は。それで一応法人格だけは維持していこう、せっかく認証を受けたんだからと、こういう気持ちだと思いますが、しかし、これからどないしたらいいんかなという話に現在なっているわけじゃないですか。
なぜそうなるかというと、やはり資金なんですよ、人なんですね。もっと言えば、まず資金なんですね。資金があれば人も雇えるんです。しかし、ほとんどボランティアに頼る組織しかつくれないんですね、今の状況は。もしくは、介護保険とかで政府からお金をいただけるというものか、企業の例えば研究会だったものが、ある程度資産を持っていたから、法人格が必要だったから取ろうかとか、そういうところはこれでいいんです。この特定非営利活動法人でも、今度の一般社団でもいいんですね。
でも、そうじゃないはずなんですね。本当に政府も私ももっと促進しなくちゃいけないということは、民間の公益活動をもっと花開かせようという話なわけですよね。そんな、ちょっと資産があったから、代表者は個人名じゃだめだから、だから法人格を取ろうかというような人たちのために利用していただこうと思ってつくった制度じゃないはずなんですよ、特定非営利活動法人も、今回の政府の進めていらっしゃる公益法人大改革も。そうじゃなくて、民間の公益活動を増進しよう、こういう目的のために、ではどういう基盤づくりをすればいいのかという話だと思うんですね。
ですから、そのときになぜこの特定非営利活動法人を入れないかというのは、やはり僕は理解できないんです。だから、やめなさいということではなくて、公益法人も特例民法法人ということで五年間存置するわけですから、そうしたら、特例特定公益法人とか、何かややこしい、舌をかみそうな名前になっちゃいますけれども、そういうふうにしてあげて、五年間もあるんですから、そのうちに、大臣もおっしゃっていただいているようにまた議論を深めて、国会でも議論を深め、またいろいろな、いわゆるNPOの皆さんの御意見も聞きながら、どうすればいいのか、本当に今の制度でいいんでしょうかということも議論していけばいいと私は思うんですね。何も十二月一日まで待つ必要はないと思います。
これは法律事項なのかな、では、特定非営利活動法人を一部改正して、とにかく特例特定非営利活動法人として新しい公益法人改革制度の中に取り込んでやっていくという話は、そんなに難しい話なのかと私は思います。いかがでしょうか、そんなに難しい話じゃないと私は思いますが。
〔江崎(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
○ 岸田国務大臣 まず、御指摘のように、基盤づくりが大切だということにつきましては私も同感でございます。
ただ、その基盤づくりにつきましても、本当にいろいろな意見がありますし、また状況は刻々と変化しています。この基盤づくりにおいても、一〇〇%頂上までみんなの意見を一致するというのはなかなか大変なことなんだろうなというふうに感じております。
ですから、今、現実問題、八合目までたどり着いたと評価される制度であるならば、ぜひこの制度をまずは混乱なくスタートさせたいというのが私の思いでございます。そして、スタートさせながら、やはり引き続きしっかりとした議論をしていかなければいけない。
そもそも、民による公益増進という大目的を達するために、多くの皆さんがどんな努力をされているのか、どんな苦労をされているのか、こうした刻々と変化する状況の中でしっかりと実態を把握していかなければいけない、これは御指摘のとおりですし、大切なことだと思います。
こうした努力を、まずはこの八合目までたどり着いたと評価される制度をスタートさせながら、さらに八合目から上を目指せるように努力していきたいと考えているのが私の今の思いでございます。
○ 市村委員 もちろん、何事にもいろいろな意見があるわけです。しかし、今まで、私は十八年ぐらいやってきていますが、いろいろな方、岸田大臣も恐らく大臣になられる前から自民党の中でことごとくこういうものに御見識があったと私は存じておりますが、やはりもう大分議論してきていると私は思います、もういろいろな意見が聞いてあって。
その中で、政府が今進めようとしている流れは、方向性は、極めていい土台づくりをしようという流れだと私は思っています、一応、表面上。もちろん、それをもっと本当によくしていくためにはまだ踏まえなければいけない課題はたくさんありますけれども、しかし形としては、方向性として見えている部分に関しては、私は、やはり八合目まで来たという評価なんです。
ただ、もちろん一たん頂上を目指しても、私の今目指している頂上は富士山かもしれません。でも、ひょっとしたら、ある人にとっては、富士山の頂上に登ったら、次はエベレストへ行きたいと思うかもしれないですね。だから、別に頂上が一つだけじゃないわけでありまして、一つのことを達成したら、次にまた登ろうという話になっていると思います。
今私が申し上げているのは、一つの山の八合目なんですね。しかも、ここまで政府が思い切って踏み込んだんですね。民法三十四条を削除するというのは、私もずっと言い続けてきましたけれども、本当になったのかということで、私はすごく感慨深かったんです、あの日が。これはすごいことだぞ、本当に革命的なことを、大転換を政府はやられたなというふうに思っているんですね。
だから、そこまでやっているのであれば、あとちょっとじゃないですかということなんですね。もうあとちょっと今の制度を手直しすれば、もっといい基盤になるはずなんです。しかし、もちろんそれで終わりじゃありません。基盤に対しても、ちょっとこの基盤もということがあるかもしれません。しかし、一つの結論に達するときに、あと一歩まで来ているということだと私は思っているんです。
だからそれは、例えば、前もここでも申し上げましたが、一般社団、一般財団ではなくて非営利財団、非営利社団というふうな形にいわゆる法人格名を変えて、まさにこれがNPOですよ。一般社団というのは、一般とは何ですかという話にまたなるんです、これははっきり言って。非営利社団、非営利財団に変えて、まさにNPOに法人を与える一般的、包括的制度をつくり上げよう。
そこには、当然、今の公益法人、中間法人だけじゃなくて、特定非営利活動法人もあれば、それから今の学校法人とか社会福祉法人、あと共益法人と思われる例えば農協、生協、それから、これはちょっとまた違う観点からの議論も必要なんですが、あとは同窓会とか、労働組合もそうですけれども、こうしたものも取り込んでいく。
やはり一つの非営利法人の、NPOの体系をしっかり形づくって、それに対して、今回政府もお進めされているような税制優遇を与える道をつくっていく。それも整理が要ります。公益法人だけじゃありません、やはり共益法人にもある程度の税制優遇の道を開くことも必要なんですね。だから、その共益法人の議論も今回抜け落ちているんですね、今の話からすると。きょうはしません、共益法人の話は。
しかし、まずは、ほぼ同じ思いでつくろうとしていた特定非営利活動法人ぐらいは、学校法人、社会福祉法人を入れるという議論は、それこそまた政府からすれば、大問題だ、これはまた大きな議論が必要だという話になるんでしょうけれども、せめて特定非営利活動法人は、前も申し上げましたけれども、入れてあげるというか、皆さんに、ほとんどの方は制度を知りませんから、申しわけございませんでした、本当にプロトタイプで申し上げました、ある種、試験機みたいなものをこれまで利用していただきました、一号機を利用していただきました、この一号機はなかなか使い勝手も悪かったですね、でも、皆さん、いろいろな工夫をしながらこの一号機を使っていただきました、ありがとうございますということですよね。しかし、ようやく皆さんが求めていたすばらしい製品ができ上がったんですから、今まで御努力いただいた皆さんには、十年間御努力ありがとうございました、では差しかえさせていただきます、交換させていただきますということが、私はやはりあるべき姿だと思っています。
まだ一号機で一生懸命努力されている、政府がこれはいいんですよと出した一号機で大事に大事に一生懸命やっていらっしゃる方もいるんですね。やっていたら、そのうちに、向こうで何かみんなわいわい騒いでいるぞ、行ってみたら、あれ、何だ、あれが我々は欲しかったんじゃないかと。そうしたら、これ、いいでしょう、では買ってくださいと言ったら、これは怒りますよね。今まで苦労した我々は何だったんだとなりますよ、これははっきり言えば。
だから、今回こういういい商品ができ上がりました、皆さんがまさに求めていたものに近い、ようやく八割まで近づきましたから、どうぞ皆さん、今まで一号機で、プロトタイプで本当に御苦労いただいた皆さんには、交換させていただきますという意味で、やはり今回この新しい制度に、お待たせしました、こういう皆さんが求めていた制度ができましたから、どうぞ入ってくださいと。
もちろん、これはいろいろまだ考えていくこともあります。公益認定等委員会のガイドラインの問題というのはこれから大きな問題になってくると思います。やはりハードルを下げていく、そして皆さんが求めていた税制優遇までなるべくハードルを低くしてたどり着けるような道をつくりますから、どうぞ入ってくださいということの方が私は親切だと思います。みんなそれを求めています。
そう言えば、恐らく、制度を知らないけれども、ありがたい話だ、道理で、これはなかなか使い勝手が悪いなと思っていたら、そういうことだったのかと。でも、政府はよく私たちのことをわかってくれている、これで苦労した私たちに、新しい制度ができたからどうぞと言ってくれているんだ、ありがたいことだと。
よくよく聞くと、まず同じような状況になって、非営利社団になるのかな、非営利社団という名前なのか、特定非営利活動法人から非営利社団法人と、非営利法人になるんだな、ようやく特定が取れるな、よかったよかった、一般だ、特定というのは何かよくわからなかったな、一般にやっとなってくれたんだな、非営利法人だ、まず私たちはNPOですと。
その中から、ハードルを低くしたガイドラインによって、いわゆる特増並みになっていく、そして寄附を求めやすい制度をつくる。もちろん、寄附だけでは成り立ちません、収益事業も必要です。しかし、今までは努力のしがいがなかったわけですね。つまり、お金をもらいたい、どこかに寄附してくれと言っても、今までは寄附してくれる人がいなかったわけです。
だから、まず、新しい制度においては、NPOにお金が回るような制度、例えば国税の税額控除十万ぐらいを入れて、そうすると税金が、国に十万行く分がこっちのNPOに十万入るわけですね。そうしたら、多分、最低でも何千億円規模の、NPOに行くお金のプールができると思います。そのプールができた段階で初めてファンドレージングになるんですね。お金をぜひとも私たちに出してください、寄附してくださいという努力が生まれてくるわけですよ。今ファンドレージングしようとしても、レーズするファンドがないわけです、日本には。だから、これで幾らNPO頑張ってくれといったって、頑張れないんですね。
だから、そういうふうにしていろいろな制度を入れながら、そしてNPOに回るお金をつくって、そして今回の中に入ってもらって、寄附優遇までたどり着いていただいて、そして寄附を求めに行く。しかし、ちゃんとした活動をしなかったら寄附も集まりません。だから、これからは本当にNPOの努力が問われてくるわけです、個々のNPOの努力が問われてくるわけですね。そういう制度にしてあげなくちゃならないわけです。だから、そのために、今の政府がやろうとしている制度は、僕は、表面上はなかなか、八割ぐらいまでいっているなという思いです。
しかし、前も申し上げましたように、今の公益認定等委員会というのは、過去の清算もさせようとしているわけですね。要するに、天下り先になってしまった公益法人を何とかしなくちゃいけないという過去の清算までさせようとしているわけです。しかし、それは公益認定等委員会の役割じゃないと僕は思っているんですね。まさに今ここで議論させていただいているような、これからどうするんだ、民間の公益をどうこれから日本に花開かせていくのか、こういう前向きな、未来に向けた議論をすべきなのが公益認定等委員会だと私は思っています。だから、そういうものとして、もう一回議論を組み直していっていただきたいと僕は思っているんです。そうしたら、おのずとその結果は、特定非営利活動法人もやはり一緒にやるべきだなというふうになるはずですから、僕はそういうふうに思います。
せっかくいい方向になっているわけですから、もう一度議論をしっかりと組み直すこともしていただきながら、特定非営利活動法人も十二月一日までに一緒に入れるということでぜひとも御検討いただきたいと思いますが、最後に岸田大臣の御見解をいただいて、終わります。
○ 岸田国務大臣 きょうも市村委員から大変貴重な御指摘を数々いただきまして、大変参考にさせていただきました。
その中で、おっしゃった中で、要は、エベレストを目指すのか、富士山を目指すのか、目指す頂上は一つではないという御指摘、そのとおりだというふうに思います。だからこそ、一つの山の八合目までたどり着いたと言われているこの制度を、ぜひ混乱なくしっかりとスタートさせていただきたいというふうに願っております。そしてまた、八合目までたどり着いたと評価されたこの制度を混乱なくスタートさせることによって、次はどの頂上を目指すのか、ぜひ市村委員ともしっかり御議論させていただきながら、しっかりと目指す方向を検討していきたいというふうに考えております。
○ 市村委員 どうもありがとうございました。
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