| 市民活動促進法案について −NPOの視点から− |
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| ● はじめに | |
昨年、12月17日に、自民、社民、さきがけの連立与党が「市民活動促進法案」を衆議院に提出しました。18日が臨時国会の会期末だったため、継続審議となり、実質的な審議は現在の通常国会に持ち越されています。伝わるところ、連立与党はこの法案の早期設立を目指しているようです。したがって、政治情勢に大きな変化がない限り、この法案は通常国会で通過し、「市民活動」をめぐる新たな制度が生まれる可能性が高いものとなっています。 |
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| ● NPOとは何か | |
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まず、NPOとは何かについて問い直してみたいと思います。いうまでもなく、「NPO法」はNPOを対象としています。ところが、NPOとは何かについて、十分な理解を欠いたまま、または、貧困なイメージしか与えられないまま、NPOという言葉が一人歩きしている状況があります。例えば、阪神・淡路大震災以後、しばらくの間、「NPO法」がボランティア活動行動促進法と混同して使用されていたこともありました。もちろん、NPOにとってボランタリー(自発)な意志は不可欠ですし、私たちの中の市民性や社会性を、その活動の源にしていることには間違いありません。しかし、だからといって、NPOは市民活動団体またはボランティア活動団体と一般に考えられる諸団体と同義ではないのです
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| (非営利、非政府、自律性) | |
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それではNPOとは何か。NPOは、Non Profit Organizationの頭文字をとったもので、逐語訳は非営利組織。NPOの経済学的な定義は、「(収入から費用を差し引いた)純利益を、利害関係者に分配することが制度的にできないような非政府組織」です(注2)。ここには、NPOの2つの主要な特徴が示されています。非営利(=純利益を利害関係者に分配しないこと)は、NPOという呼称から当然としても、非政府ということが定義に入っていることに注意が必要でしょう。NPOは、本質的に非政府組織、言い換えれば、民間の組織とされるものなのです。 近年行なわれた、多数の多種多様なNPOからなる非営利セクターの国際比較研究(注3)でも、系統だったデータの収集を可能にするために、NPOの5つの特徴を確認しています。そのうち2つは。「民間であること」と、「利益分配をしないこと」で、先に述べた主要な特徴と一致しています。他の3つは、「正式に組織されていること」、「自己統治」、「自発性があること」とされています。ここでは、これら3つの特徴をまとめて自立性としてみます 。 |
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| (多種多様な団体) | |
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現状での共通認識を勘案した場合、NPOを抽象的に表現すると、「自律した民間非営利組織(以下「民間非営利組織」)」となります。すなわちNPOとは、行政とは違った立場で、企業のように営利を主たる目的とせず、自立的に経営されている組織の総称なのです。こうした組織には、一般に市民活動団体やボランティア活動団体と考えられている組織が含まれているだけではありません。NPOを運営面等で支援するインフラ組織や、非営利活動を財政的に助成する助成団体、そして、生活者指向の政策代替案を提示しうる独立型シンクタンクもNPOの範疇に入ってきます。また、日本になじみの深いところでは、財団や社団、私立学校、私立病院、社会福祉施設、宗教団体などの公益法人等や政治団体、労働組合、生協、農協も、それらの設立の趣旨から言えばNPOなのです。 例えば、社団の中には、経団連や数多くの業界団体、さらには同窓会的なものも含まれています。これだけでも、NPOというものが、市民活動団体やボランティア活動団体というイメージだけでは決して捉えられないことを、分かり易く示してくれます。さらに、各種サークルや倶楽部、同好会にもNPOの定義に当てはまってくるものもあります。興味深い現代的な例として、コンピューターソフト会社やインターネットのプロバイダーには、NPOで同好会的にスタートして、資金が集まりビジネスとして軌道に乗ったところで営利会社に移行するものが現れていることが挙げられます。 米国には、弁護士や会計士など専門家が、NPOのために相談業務を行なうNPOを設立しているケースもあります。また、NPOを対象に、広告代理業務を行うNPOも存在しています。 「NPO法」が対象にすべきNPOとは、こうした実に多種多様な目的や形態をもつ「自律した民間非営利組織」なのです 。 |
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| (今日的な意識) | |
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NPOの今日的な意義は、行政の抱える様々な制約や限界を乗り越え、それとは異なる発想や手法で社会性、公益性が高い各種サービスを提供すること、また、行政や企業のあり方を納税者、消費者の立場からチェックし、生活の質(QOL)を高めるための提言を行い、立法等に反映させることにあると考えられます。 NPOがそうした役割を十分に果たすためには、数多くの多種多様なNPOが事業を維持、発展できるような、そして、そうしたNPOからなる、行政セクター、企業セクターと並ぶ民間非営利セクターの創造に向けた環境の整備が必要とされているのです。 そうした環境の整備には、人材の育成や非営利組織のマネジメントの在り方の模索等と同時に、法制度の整備も欠かせません。行政セクターや企業セクターのためには様々な法制度が用意されています。同様に、今後の多元的な社会の実現に重要な役割を果たすであろう非営利セクターにも、それを発展させるための社会的な仕組みづくりが不可欠という認識こそ、「NPO法」が求められる所以であるのです 。 |
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| ● 市民活動促進法案 | |
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以上のような観点から、連立与党が衆議院に提出した「市民活動促進法案」を、「NPO法」として捉えた場合、いかなる評価がなされるか見ていきます。 まず、「市民活動促進法案」は何をその政策目的としているのでしょうか。この法案は議員立法とされています。であれば、提案者の衆議院議員(注4)は一体、現状にどういう問題意識を持ち、「市民活動促進法案」の成立を通じて、何をどう改善しようとしているのか。法案の各条項にそれらを見ていくことにします 。 |
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| (「別表に掲げる活動」) | |
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法案の第1条には「目的」が掲げられ、「(前略)市民活動の健全な展開を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする」とされています。ここで重要なことは、市民活動とは何かということです。もし、市民活動団体が、民間非営利組織と同義、または、それに近いものとして定義されているのであれば、NPOを市民活動団体と呼ぶことには強い違和感が残るものの、法律制定の目的を「民間非営利活動の健全な発展を促進する」と読み換えることもでき、簡潔な表現に留めた「目的」と言えなくもありません。 そこで、第2条第1項を見ると、市民活動が定義されています。「市民活動」とは、「別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう」と定義されています。ここで「別表に掲げる活動」とは、次の11項目です。@保健福祉の増進A社会教育の増進Bまちづくりの推進C文化・芸術・スポーツの振興D地球環境の保全E災害時の救援F地域安全活動G人権の擁護・平和の推進H国際協力I男女共同参画社会の推進J子供の健全育成。 ここには、2つの重大な問題があります。 まず、対象となる活動目的を11項目に限定していることです。NPOには、多種多様な活動が期待されます。また、NPOへのニーズも時代とともに変化をするのであって、現在は活動例がなくても、将来に必要とされることもあるはずです。あらかじめ民間非営利活動の目的を限定していては、そうした可能性を最初から潰していることになります 。 |
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| (「不特定多数の利益」) | |
| さらに、「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する」とされていることも、対象となる活動の絞り込みに利用されかねません。NPOの活動は必ずしも「不特定かつ多数」に寄与するだけではありません。例えば、難病の克服があります。難病にかかり苦しんでいる人は、「不特定かつ多数」ではなく、特定かつ少数です。「市民活動促進法案」における「市民活動」の定義に従えば、難病克服のための活動は民間非営利活動に入ってきません。しかし、たとえ特定かつ少数を対象にした活動であっても、難病を克服する方法が見つかれば、それがどれほど人類全体に安心感を与えるでしょうか。こうしたことは、「不特定かつ多数」の原則に縛られる行政や、マーケットの大きさにこだわる企業には手がだしにくく、NPOに期待される役割でもあるのです。行政のように「不特定かつ多数」の原則に縛られることなく、社会に有益な活動を行えるところにNPOの存在意義があるはずなのに、行政と同じ原則をNPOに課すというのは、NPOとは何かという根本的なことを理解していないとしか言いようがありません。 ところで、こういう表現を採用した背景には、とにかく「公益」という言葉を用いてはならないという意識があったようです。日本において、公益法人は非常に敷居の高いものとなっています。民間非営利セクターの圧倒的大多数を占める中小規模のNPOには、事実上法人化及び税制優遇の途は閉ざされてきました。加えて今日、公益法人への天下り問題がマスメディアを賑わしており、公益法人に対する一般のイメージは必ずしも良いものではありません。こうしたことから「公益」という言葉への疎遠感や不信感が生まれたのでしょう。しかし、問題の本質は、「公益」が「主務官庁の許可」制度の下で運用されてきたことにあります。 許可制度においては、主務官庁に自由裁量権を与えています。これにより、行政に都合の良い民間非営利公益法人の在り方が確立してしまいました。公益法人への天下り問題も、現行制度の根元にその原因を求められるのです。にもかかわらず、その批判の矛先は「主務官庁の許可」に向けられるべきところを、「公益」がその矢面に立たされてきました。「公益」はその定義の曖昧さ、移ろいゆえに、行政に都合の良いように利用されただけなのです。残念なことに、マスメディアの論調も、本質論には踏み込まず、「公益」を筋違いに悪者扱いにするものが大勢でした。そして、その誤解が解けないまま、「公益」という言葉を「市民活動」の定義に入れてはならないということになったようなのです。ところが、確かに定義に「公益」という言葉は使用されなかったものの、「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する」という、行政には都合の良い従来からの「公益」の解釈そのものが入ってきています。むしろ「公益」という言葉であった方が、新法の仕組み方や運用次第によっては、「公益」概念の拡大も図れたのです。これではかえって、旧来の「公益」概念を保守し、かつNPOの存在意義にも抵触する表現を採用するという愚を犯しています 。 |
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| (無償労働要件) | |
| 次に、「市民活動法人」の要件(第2条第2項)を見ていくことにします。ここには、「市民活動」団体が、法人格を取得できる条件が書かれているのです。それらは以下の通りです。 @社員及び会員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないことA役員のうち報酬を受ける物の数が、役員総数の3分の1以下であることB社員のうち報酬を受ける者の数が、社員総数の3分の1以下であることC宗教の協議を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないことD政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものではないことE特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対するものでないこと。 これらに対する評価をするにあたって、第10条で、市民活動法人を設立しようとする者は、所轄長に必要書類を提出して、「設立の認可」を受けなければならないとされていることを加えておきます。ここで、所轄庁とは、第9条で、「その事務所の所在地を管轄する都道府県知事」、または「2以上の都道府県の区域内に事務所を設立する者にあっては、(中略)経済企画庁」です。 まず、AとBに関して、ここではそれらを「無償労働要件」とします。この「無償労働要件」によって、「市民活動促進法案」は、民法の特別法として成り立っています。無償労働者が社員の大多数を占めるということで、その他の公益法人等との切り分けを行っているのです(注5)。これら特別法の命とも言うべき中核的な要件に従うと、スタッフ全員が通常有給であるNPOはその対象となってきません。これでは、有給スタッフに頼るシンクタンクや助成団体など、民間非営利セクターを構成する枢要なNPOが対象となりません。このことは、活動項目を11項目に限定していること等と相まって、「NPO法」の本来の趣旨からして、「市民活動促進法案」を「NPO法」とすること自体に根本的な疑問を投げかけることになります。しかしながら、ここでは引き続き「NPO法」という観点から、「市民活動促進法案」を見ていくことにします。 |
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| (「設立の認証」) | |
さて、@の「不当な条件」とは何か、ということをはじめ、CやDの要件も具体性に欠けている点に問題を指摘できます。こうした解釈の余地を残す要件を課す一方で、所轄庁による「設立の認証」を必要としているのです。 |
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| (所轄庁) | |
| さらに、2県にまたがる場合、経済企画庁が所轄庁になっていますが、経済企画庁は外に出先機関を持っていないことから、法人格の申請者は東京に行かなければならないことが予測されます。これなども、公益法人などに対するのと同じ、これまでの悪弊をそのまま踏襲しているに過ぎません。それでも、公益法人の場合は、法人格付与が、国税も含めて自動的に税制上の優遇にもつながることであれば、中央政府としては慎重な審査を要するという理屈が付くのかもしれません。しかし、「市民活動法人」は、税制上は任意団体となんら変わりないのです。それで、東京まで来いというのは余りに酷です。都道府県知事の場合にしても、県庁所在地まで出向かなければならず、この点、いかなる制度ができるにせよ、郵送やデジタル情報での受け付けなど、申請者にできる限り負担をかけない方法を考えていく必要があります。 |
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| (監督) | |
| 次に、「監督」の問題はどうでしょうか。この「監督」という考え方は、公益法人等に対する、現行の許可制度に付随するものであり、今後のNPOに関する行政に関与のあり方としては望ましくありません。原則的に、法人格取得の段階では、情報公開を義務づけ、その公開情報の閲覧の自由を規定しておくことで良いでしょう。行政の関与は、登記または登録などが正しく行われているかという点で留まるべきです。そして、何か問題が発生した場合は、司法的な解決をというのが今後追求していく姿です。 この点、「市民活動促進法案」においても、準則主義でなく認証制度を採っていることから、「監督」規定を置かざるを得ないものとなっています。行政の不当な介入を防ごうという工夫(注1)も見られますが、一方で、改善命令を経ないでも設立の認証を取り消すことができる規定を置くなど、考え方に一貫性が見られません。また関連して、第44条で、密告を奨励するかのような規定を設けていることは、危険な臭いさえ感じられます。相互にチェックし合うことは当然で、このような規定をあえて設ける必要はありません。この点、法案提案者の意図を明確にさせる必要があるでしょう。 |
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| (規制色、統制色) | |
| 以上、重要な論点に関し、法案の条項を追って見てきました。ここから感じられることは、一貫した哲学の欠如です。「NPO法」は、多元的な社会づくりのため、多種多様な多数の「自律した民間非営利組織」からなる、重層的な民間非営利セクターの確立を目指すべきものです。この点、「市民活動促進法案」は、実に規制色、統制色の強い法案となっており、浮かんでくるのはNPOへの拭いがたい不信感、あるいは恐れです。できる限り対象となる活動目的を絞ろう、そして行政の裁量の余地を大きく残し、NPOをその監督下に置こうという姿勢にそれが現れています。日本社会において、民間非営利セクターを確立するとは、それを創造することに等しいものがあります。何かを創造する場合、初期にはレッセフェール(なすがまま)の思想が重要にもかかわらず、しかも自主自立を旨とするNPOに関する法律がこれほど規制色の強いものとなるのは、NPOの何たるかを全く理解していないとしか言いようがありません。さらには、これが官僚機構に対峙し行革を推進しているはずの国会議員が提出した議員立法というのですから本当に情けなくなります。 |
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| (「介護保険法案」との関連) | |
| 一説に、この「市民活動促進法案」は「介護保険法」との関連を指摘されています。「介護保険法案」において、認定介護団体というものが規定されているそうで、認定の条件に法人格があるそうようです。「市民活動促進法案」が成立した場合、介護ボランティア団体の多くが、従来の制度に比べて法人格を取得しやすくなることが考えられます。法人格を取得すれば、認定介護団体となれ、介護保険を原資とした補助金も受けられるようになります。なるほどそういうことかと、思わず頷いてしまいそうですが、もしこうした発想で「市民活動促進法案」が作成されているとしたら、この点においても、「NPO法」とは到底言い難いものと言えます。「NPO法」には、寄付の習慣を促進することも求められます。 それは、政府からの補助金を流しやすくするという発想と対極にあるのです。ちなみに、「NPO法」と両輪に考えられるべきは、「情報公開法」です。私たちの中の、市民性や社会性が主役となる社会(以下、「市民社会」)では、民間非営利セクターにおける代替政策立案ということがより重要になってきます。スタート時点で大きなハンデを負っていることになり、有効な代替案を提示することが困難になります。市民社会を確固たるものにするために、「NPO法」と「情報公開法」は両輪なのです。 |
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| (税制の問題) | |
| さらに、「市民活動促進法案」に関連して指摘すべきこととして、連立与党は、「NPO法」の最も重要な柱である税制優遇について全く手を付けてないに等しいということがあります。市民活動法人の税制上の立場は、任意団体となんら変わりません。現在、多くのNPOが切実に求めているのはその活動資金です。実は法人格だけ取得しても、補助金を当てにできる団体は別として、他に活動資金を得られる手だてがなければ、活動を維持することはきわめて困難です。米国において、個人の寄付総額は年間約15兆円で、一方日本は、税務統計上の数字では350億円程度です。日米を比較した場合、この個人寄付額の差が歴然としています。寄付にインセンティブを与えて民間非営利セクターに流れる資金のパイを拡大しなければ、多種多様なNPOの存在は極めて困難です。資金還流には、税制優遇処置が絶対不可欠です。法人格もさることながら、現場で活動するNPOがより強く求めているのは、税制優遇です。NPOが自律するためには、独自に資金調達を図る手段の教化が必要です。NPOが寄付をえやすくなるような環境を整備するのが「NPO法」の最重要な課題です。 |
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| ●総括 | |
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総括すれば、「市民活動促進法案」は、「NPO法」というには、非常に大きな問題を抱えています。それが、「NPO法」と称されて成立された場合、将来の民間非営利セクターの創造、発展を促進するどころか、障壁となってのしかかってくることになるでしょう。「介護保険法」のために、この種の制度が必要ということであれば、「介護保険法」に認定介護法人を規定すれば済みます。そのために、「NPO法」に本来期待される革命的な役割を、「市民活動促進法案」という形で矮小化する必要はさらさらありません。 最後に、そもそも市民活動を法律で定義することへの問題点を指摘しておきます。法律を作るということは、本質的に規制を加えるということです。市民活動に規制が必要でしょうか。私たちの市民性の核心部分にまで行政の関与を認めて良いのでしょうか。「市民活動促進法案」が、NPOに法人格を与える法律として海外で紹介されたとしたら、まず不可思議に首を傾げられ、そののち、日本では市民の活動まで行政が支配しているかと揶揄されることになるのでしょう。もちろん、「市民活動促進法案」が成立したとしても、利用をしないという選択肢も残されていることがせめてもの救いと言えます 。 |
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注
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1) ここで「NPO法」とは、民間非営利セクターが、健全かつ円滑に発展するようにするための諸法制度の総称です。 2) 『経済セミナー』(日本評論社)95年10月号山内論文参照 3) 『台頭する非営利セクター』(ダイヤモンド社)参照 4) 熊代昭彦議員、小川元議員、河村健夫議員(以上、自民)、辻元清美議員(社民)、武村正義議員(さきがけ)の5名 5) これで本当に民法との切り分けができているのかについて専門家の中には疑問もあります 6) 原則禁止であるが、所轄庁の許しを得れば行っても良いということ 7) 立ち入り検査をする場合、「相当の理由を記載した書面」を提示することや、立ち入り検査をする職員は身分証明書を携帯し、関係人に提出する等 |
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